東京電力ホールディングスは、千葉県銚子沖における洋上風力発電の実現可能性の検証を目的に、2018年11月1日から海底地盤調査を開始した。同海域における地盤構造を把握するため、2019年1月末までの約3カ月間、銚子市沖、旭市沖で海底ボーリング調査を、銚子市沖、旭市沖、匝瑳市沖、横芝光町沖で音波探査を実施する。
同社は国内外の洋上風力発電や、海外における水力発電を中心に再生可能エネルギー電源の開発を進める方針で、国内の洋上風力については、将来的に総開発規模200〜300万kW(キロワット)を目指している。
今回の海底地盤調査はこの方針に基づくもの。具体的には海底ボーリングによる地盤構造の調査として、洋上に設置したSEP(Self Elevating Platform、自己昇降式台船)から調査点2カ所でボーリングを行い、採取した試料から地質性状を調査する。また、音波探査による海底地盤の構造解析も行う。
この他、陸上地点でも地盤調査を行い、海底での調査結果と合わせて地盤構造を面的に確認する予定だ。
東京電力ホールディングスでは2009年8月から新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の公募事業の一環として、千葉県銚子沖で風況・海象の把握、海洋構造物が環境に与える影響などについて調査を行ってきた。
2013年1月には、NEDOと共同で銚子市の南沖合3.1km(キロメートル)の海域に設置した洋上風力発電設備を設置した。厳しい気象・海象のもとでの運転・保守を経験するとともに、設備の安全性、塩害に対する耐久性などを検証し、遠浅で風速の大きい同海域が国内における洋上風力開発の有力な候補地点であることを確認したとしている。
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