歴史ある水力発電所を大規模改修、再エネ自給率を高める旭化成:自然エネルギー
旭化成は宮崎県にある自社の水力発電所の大規模改修を決定。現在、発電した電力は自社の工場設備などに送電しており、改修によって発電量を増やすことで、再エネ自給率を高める狙いだ。
旭化成は2018年11月、宮崎県日之影町に保有する「五ヶ瀬川発電所」の大規模改修工事を行うと発表した。2019年10月に着工し、2021年10月に稼働する予定だ。
同社は現在合計9カ所、最大出力合計5万6840kW(キロワット)の水力発電所を所有し、宮崎県北部の延岡地区にある工場群などに電力供給を行っている。このほど、持続的成長に向けたESG経営の一環として、水力発電所の設備信頼性を一層強化し、今後も長期にわたって安定したクリーンなエネルギーの供給を継続するために、大規模改修工事の実施を決定した。
今回改修を行う五ヶ瀬川発電所は1925年に完成した水力発電所。発電方式は流れ込み式で、最大使用水量は29.7m3/秒(立方メートル毎秒)。今回の大規模改修工事で、発電機を高効率化することで、最大出力は従来比1000kW増の1万4500kWとなる計画だ。発電によるCO2排出量削減量も、現状からさらに年間約1.1万トン増える見込み。
同社は延岡・日向地区において、9カ所の水力発電所の他、火力発電所が5カ所を所有し、同地区で使用する電力の90%を自給している。クリーンエネルギーの使用比率を高めるため、2012年からはバイオマス発電も導入した他、石炭火力の天然ガス転換などにも取り組んでいる。なお、9カ所の水力発電所の発電量は、2017年度における同社グループの国内使用電力量の約15%に相当するという。今後、五ヶ瀬川発電所の大規模改修を皮切りに、他の既設水力発電所の改修も検討する方針だ。
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