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“燃えない”リチウムイオン電池、エリーパワーが実用化:蓄電・発電機器
エリーパワーは電解液に燃えないイオン液体を用いたリチウムイオン電池の開発に成功。2020年代前半の量産を目指すという。
エリーパワーは2018年11月26日、電解液に不燃性のイオン液体を用いた、イオン液体型リチウムイオン電池の開発に成功したと発表した。製法特許を出願しており2020年代前半の量産を目指すという。
さまざまな分野で広く利用されているリチウムイオン電池だが、一般的に電解液には燃えやすい有機溶媒が用いている。こうした電解液は危険物第4類第2石油類に分類され、建物に設置する危険物と電解液の総量が200リットルを超えると規制対象となるため、大容量の蓄電池設備の設置には課題となる場合もあった。
イオン液体は化学的に安定しているかつ、不燃性のため、“燃えない”リチウムイオン電池を実現する電解液として期待されている。しかしイオン液体は粘度が高く、素早くリチウムイオンを輸送させることが困難なため、十分な充放電性能を得られず、実用化は難しいとされていた。
エリーパワーは今回、独自の製法でリチウムイオン輸率を高速化させ、1Cレートでの充放電が可能なイオン液体型リチウムイオン電池の開発に成功した。さらに23℃の環境下でフル充放電を繰り返す寿命試験では、1000サイクル後でも90%以上の容量保持率を達成し、同社が現在販売している定置用大型リチウムイオン電池などと同等の寿命であることを確認したという。
生産についても、イオン液体型リチウムイオン電池は既存の生産設備や工程を引き継ぐことが可能だという。さらに材料の組み合わせが幅広く、今後さらに高エネルギー密度化を図れる可能性もあるとしている。
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