東電初の商用洋上風力、2019年から千葉県銚子沖で稼働へ:自然エネルギー
東京電力ホールディングス初となる商用洋上風力発電が2019年1月から稼働を開始する。NEDOプロジェクトで実証用として千葉県銚子沖に設置した発電所で、出力規模は2.4MWだ。
東京電力ホールディングスは2018年11月、2013年から実証実験を行っていた千葉県銚子市の南沖合に設置した洋上風力発電設備について、「銚子沖洋上風力発電所」として2019年1月1日から「再生可能エネルギーの固定買取制度(FIT)」を利用した商用運転を開始すると発表した。同社初の商用洋上風力発電所となる。
同社は2009年8月に新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の公募事業として洋上風力発電の研究を開始。2013年1月に、NEDOと共同で銚子市の南沖合3.1km(キロ)の海域で洋上風力発電設備による実証試験を開始。厳しい気象・海象のもとで運転・保守を経験するとともに、設備の安全性、塩害に対する耐久性などを検証し、試運転データを継続的に取得した。
この実証試験の結果、高い設備利用率や設備の安全性などを確認できたことから、2017年1月にNEDOとの実証試験終了を見据え、商用化に向けた検討を開始。関係者と運転に関する取り決めなどの協議を重ねるとともに、試運転データを引き続き取得し、今回の商用運転の開始決定に至った。
銚子沖洋上風力発電所の風車は、三菱重工製で、総出力は2.4MW(メガワット)。風車中心の高さは80m、ローターの直径は92mあり、海面からブレード先端までの長さは126mとなっている。
同社は、再生可能エネルギーの主力電源化に向け、今後、国内外洋上風力・海外水力を中心に開発を進める方針だ。このうち、国内洋上風力については、将来的に総開発規模200〜300万kW(キロワット)を目指している。
この方針のもと、千葉県銚子沖における洋上ウィンドファーム事業の実現可能性を検証することを目的に、2018年11月1日から、海底地盤調査を開始している。調査では、同海域における地盤構造を把握するため、2019年1月末までの約3カ月間、銚子市沖、旭市沖で海底ボーリング調査を、銚子市沖、旭市沖、匝瑳(そうさ)市沖、横芝光町沖で音波探査を行う計画だ。
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