FCVをフル充填、ホンダが70MPa対応の水素ステーションを受注開始:電気自動車
ホンダは以前から開発を進めてきた、水素の充填圧力70MPaに対応する「スマート水素ステーション」をついに商品化。1回で同社の燃料電池車(FCV)「CLARITY FUEL CELL」に水素をフル充填できる。
ホンダは2018年11月21日から、充填(じゅうてん)圧力70MPa(メガパスカル)に対応する「スマート水素ステーション(SHS)」の受注を開始した。
70MPa対応のSHSは、燃料電池自動車(FCV)などに供給する高圧水素を製造・貯蔵・充填できる装置で、高圧水電解型の水素ステーションとして世界初(ホンダ)となる充填圧力70MPa(メガパスカル)、製造圧力82MPaを実現している。今回、環境省の支援制度を活用し、2016年10月に東京都江東区で開始した実証実験(環境省「CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業」)を経て商品化した。
同社独自技術の高圧水電解システム「Power Creator(パワークリエイター)」により、コンプレッサーを使用せず高圧化できるためコンパクトなサイズを達成。再生可能エネルギーなどの電気で水を電気分解して水素を製造する。充填圧力を70MPaにすることにより、ホンダのFCV「CLARITY FUEL CELL(クラリティ フューエル セル)」に水素のフル充填が可能な小型水素ステーションとなる。本体サイズは2250×3700×2500mm(ミリ)。水素製造量は2.5kg/日。
ホンダは、日鉄住金パイプライン&エンジニアリング(東京都品川区、NSPE)とパートナーシップを結び、SHS70MPaのコアシステムであるPower Creatorをホンダが製造・供給し、NSPEがSHSの水素貯蔵・充填システムの製造および全体の組み立てを行う。また販売・アフターサービスについてはホンダが担当する。
なお、SHS 70MPaの設置には、環境省が公募する「平成30年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(再エネ水素を活用した社会インフラの低炭素化促進事業)」を活用することができる。
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