経産省が未稼働太陽光へのFIT改正案を修正、減額の適用期限に猶予:太陽光(2/2 ページ)
一定の条件に基づいて買い取り価格を減額するという、太陽光発電の未稼働案件に対するFIT制度の改正案について、経済産業省が一部の内容を修正すると発表。2019年3月31日までとしていた系統連系工事の着工申し込みの受領期限を延長し、猶予期間を設けた形だ。
着工申し込みは、3つの要件を満たす必要アリ
さらに今回の修正案では、電力会社に対して系統連系工事の着工申し込みを行うために満たさなくてはいけない、3つの要件も公表している。
1つ目は、着工申し込みの提出時点で、発電設備を設置する土地の使用の権原が現に取得できていること。2つ目は申し込みを行う時点で、農振除外および農地転用許可の取得もしくは届け出の受理、条例に基づく環境影響評価の評価書の公告・縦覧の終了、林地開発の許可の取得が終わっていることだ。これはこうした手続きが必要になる案件に限る。
3つ目の要件は、着工申し込みを行った後、運転開始までの間に、発電事業計画の変更認定申請を行わないこととだ。もし、行った場合は、再度の申し込みが必要になり、買取価格が変更になる。ただ、軽微な変更については、発電事業計画の変更届を行っても、再度着工申し込みを行う必要はない。なお、発電事業計画の変更処理手続き中でも、着工申し込みは可能だ。
この他のルールとして、期日までに系統連系工事の着工申し込みが受領された後、送配電事業者が指定する予定日に対し、工事の遅延など何らかの理由で連系開始が間に合わなくなった場合でも、再び着工申し込みをする必要がなくなった点もポイントだ。つまり、とにかく先述した期限までに着工申し込みが不備なく受領されれば、減額措置の対象とはならないという仕組みだ。
さらに、今回のルールに基づいて、新たに運転開始期限が設定される事業については、既に運転開始期限が設定されている事業と同様に、系統連系工事着工申し込み前であれば太陽光パネルの変更を行っても調達価格は変更されない。ただし、先述した「2018年12月5日時点で工事計画届が受理されているものは今回の減額措置の対象外」というルールが適用されなくなる。
資源エネルギー庁では今後、これらの新しいルールの詳細な運用や、手続きの方法については近日中に公表する予定としている。なお、系統連系工事の着工申し込みの受け付け開始は、年始を予定するとしている。
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