ブロックチェーンで再エネ電源を特定可能に、みんな電力が電力取引システムを商用化:自然エネルギー
みんな電力が、電源を指定して電力の直接取り引きを行える「ブロックチェーンP2P電力取り引きシステム」の商用化を決定。発電量と需要量を30分ごとにマッチングしつつ、「どの電源からどれだけ電力を購入したか」を証明できるという。
新電力のみんな電力(東京都世田谷区)は2018年12月、電源を指定して直接取り引きを可能とする、独自のブロックチェーンP2P電力取り引きシステム「ENECTION2.0」について販売を開始すると発表した。
同社はENECTION2.0について、2018年9月から同社と契約する発電事業者4社と需要家4社に先行提供し、実証を進めてきた。その結果、バランシンググループ(BG)内での発電量と需要量を30分ごとに個々にマッチングし、取り引きとして約定させることに成功した。約定結果はブロックチェーン上に記録されるため「どの電源からどれだけ電力を購入したか」を証明ができることになる。この結果をもとに、みんな電力では世界で初めてという電力トレーサビリティシステムの商用化を決めた。
再生可能エネルギー由来の電力100%で企業活動を行う「RE100」への加盟企業が増加しており、欧州を中心に電力の供給源となる発電所を特定する電力トレーサビリティに注目が集まっている。ただ、これまでは年間単位の取引が中心となっていたという。一方、みんな電力が開発したENECTION2.0は、30分単位で、より精緻かつ低コストに電力のトレーサビリティを担保できるとしている。
今後は同システムをオープンなプットフォームで、誰もが活用できる環境を整えることで、日本の電力トレーサビリティを、世界で最も低コストかつ精度の高いものにしていくとしている。
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