農業と発電を両立させるために、ソーラーシェアリングのO&Mはどうすべきか?:ソーラーシェアリング入門(9)(2/2 ページ)
農業の新しい収益源として注目が集まっている「ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電事業)」について解説する本連載。今回は農業と発電を両立させるソーラーシェアリングに求められる「運用保守(O&M)」の在り方について解説する。
農業と太陽光発電の両立を図る「アグリマネジメント」が重要に
私たちは、このソーラーシェアリングにおける発電設備のO&Mと農業管理を一体化した考え方・手法を「アグリマネジメント」と呼んでいます。アグリマネジメントでは、農作業の暦に合わせて年間のO&Mの作業スケジュールを組むとともに、ソーラーシェアリング発電所をアセット(資産)として考えた場合に、農業が適切に実施されているかも評価し、もし発電設備によって農作業に悪影響が出ているとしたら、どのように改善すべきかまでを提案するようにしています。
前回の連載「持続的な営農への懸念も、大規模化するソーラーシェアリングの課題」でも、大規模なソーラーシェアリングにおける農業の持続性について言及しましたが、規模が大きくなればなるほど発電設備のO&Mと農作業のバランスを取ることが重要になってきますし、発電事業者と営農者が別事業者となることが多くなってくるため、両者のコミュニケーションを図り、相互の情報を適切に共有して、より良い農業を行っていくことがソーラーシェアリングの目指す「農業と地域の振興」という目的にもかなうことになります。
ソーラーシェアリングには、常に発電所の敷地内で人が作業を行うという地上設置型にはない特徴があり、それ故に設備の安全管理にはより一層の注意が求められます。設計段階から営農に配慮することは当然として、発電事業者・施工業者・O&M事業者・農業者が連携し、その特殊な事情を考慮したメンテナンスまで踏まえた設計を図ることもまた、持続可能なソーラーシェアリング事業において大切な視点です。
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