清水建設が小水力発電に本格参入、30年までに総出力1万kW体制へ:自然エネルギー
清水建設が小水力発電事業に本格参入。2030年までに総発電出力1万kW体制を構築する方針だ。第1弾として富山県に発電能力960kW(キロワット)の発電所の建設に着手する。
清水建設は、再生可能エネルギー発電事業の推進を目的に、小水力発電事業に本格参入する。第1弾として、富山県内で約16億円を投じ、発電能力960kW(キロワット)の発電所の建設に着手する。稼働は2020年12月の予定だ。
東日本大震災後、小水力発電に取り組む企業が増えている。その理由には、地元との調整や開発申請に時間を要するものの、発電量が1000kW以下ながら季節や昼夜を問わず安定的に電力を供給できること、少額投資で事業化が可能なこと、さらには発電所の開発に際して周辺環境や生態系への負荷が少ないことなどが挙げられる。
清水建設は2016年12月に、水資源が豊富な富山県内で小水力発電の事業化検討に着手。2017年12月には、小水力発電の実績が豊富な日本小水力発電(山梨県北杜市)および情報・通信・制御のソリューションサービスの日本エレクトロニクスサービス(富山市)と共同で、小水力発電事業に関する検討、売電、点検などを行う事業会社「水の国電力」(東京都中央区)を設立(出資比率=清水建設51%、日本小水力発電45%、日本エレクトロニクスサービス4%)。水の国電力を介して小水力発電所の建設に向けた開発申請業務などの準備を進めている。
清水建設は、第1弾の発電設備の運転開始後、20年間にわたりFIT発電事業を展開するとともに、富山県内の他地域を含め、5〜6県の計10数カ所で小水力発電所の開発に取り組み、2030年までに総発電出力1万kW体制、総売上高20億円を目指す方針だ。
関連記事
- 「水路で発電」を低コストに、3人で設置できるマイクロ水車
日本の各地に広がる用水路。規模は小さいものの、その水流を活用して発電する取り組みが広がっている。NTNは農業・工業用水路に設置しやすい、プロペラ式の小水力発電機を開発した。このほど福島県須賀川市の「新安積疎水」での実証を終え、2016年12月から販売を開始する予定だ。 - 水深10センチの水路でも発電、新しい小水力発電機を開発
鉄建建設は小さな農業用水路などでも発電できる、新しい小水力発電装置を開発。新開発のタービンによって、少ない流量・流速でも発電できるのが特徴だという。 - 落差1メートルの水路でも発電可能、設置も簡単な小水力発電機
協和コンサルタンツは新開発の用水路向けの小水力発電機の販売を開始した。同社独自開発の相反転方式を採用した発電機で、1メートルと小さな落差でも発電できるのが大きな特徴だ。 - 小水力発電でイノシシ対策、農業用水路に簡易型の水車発電機
山口県で、農業用水路を活用した小水力発電が進んでいる。東南部に位置する光市で、県内8カ所目となる発電機が稼働を開始した。発電した電力はイノシシ対策として導入する電気柵や、街灯のエネルギーとして活用していく。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.