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太陽光発電で初のFIT認定“取り消し”、理由は「農振法に違反」太陽光

資源エネルギー庁が太陽光発電の初のFIT認定取り消しを発表。沖縄県の8カ所の太陽光発電所で、認定取り消しの理由は「農振法への違反があったため」としている。

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 経済産業省 資源エネルギー庁は2019年3月6日、沖縄県の8カ所の太陽光発電事業について、「再生可能エネルギーの固定買取価格制度(FIT)」に基づく認定(FIT認定)取り消しを行ったと公表した。同庁がFIT認定の取り消しを公表するのは今回が初となる。

 FIT認定を取り消した8カ所の太陽光発電所は、全て沖縄県中頭郡西原町小那覇に位置。いずれも連係出力50kW(キロワット)未満の低圧に分類される太陽光発電所だ。

 資源エネルギー庁は認定取り消しとした理由について、「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法施行規則(平成24年経済産業省令第36号)第5条の2第3号の認定基準に適合していないため」と公表している。

 同法の第5条の2は、「再生可能エネルギー発電事業が円滑かつ確実に実施されると見込まれる基準」について記載したもので、その第3号には「当該認定の申請に係る再生可能エネルギー発電事業を円滑かつ確実に実施するために必要な関係法令(条例を含む。)の規定を順守するものであること」とある。資源エネルギー庁に問い合わせたところ、今回FIT認定を取り消した8件は「農振法に対する違反があった」としている。

 農振法とは「農業振興地域の整備に関する法律」の略称。市町村が将来的に農業上の利用を確保すべき土地などを定める「農業振興地域制度」に関連する法律だ。同制度に基づき市町村が「農用地区域」と定めたエリアは、基本的に農地を別の用途に利用する「転用」が認められない決まりになっている。

 発電所が位置する沖縄県中頭群の西原町は、県が公表している「沖縄県農業振興地域整備基本方針」(最終改定2016年8月)によると、「都市計画法の市街化区域および港西原町湾法の港湾隣接地域を除いた区域」として、952ha(ヘクタール)が農業振興地域に指定されており、このうち約3分の1に相当する319haが農用地区域となっている。今回の8カ所の太陽光発電所は、こうした農振法に関連した土地利用について、何らかの違反があったとみられる。


西原町が2010年12月に公表した土地利用計画。黄色い部分が農用地区域 出典:西原町

 資源エネルギー庁では、2018年10月に開催した「再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会」で、安全性や法令順守に疑義がある50kW未満の事業用太陽光発電について、立ち入り検査の実施や、その上で必要に応じて指導、改善命令、認定取り消しなどの対応を行う方針を示していた(関連記事「立入検査でFIT認定取り消しも、低圧太陽光の安全規制を強化」)。

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