太陽光の環境アセス対象は「30MW以上」に、FITとの兼ね合いは?:法制度・規制
環境省が太陽光発電事業の環境影響評価(以下、環境アセス)の在り方に関する報告書を公表。環境アセスが必須となる第一種事業を連係出力ベースで40MW(メガワット)以上、地域特性などをふまえて実施を判定する第二種事業を同30MW以上と明記した。
環境省は2019年3月、太陽光発電事業の環境影響評価(以下、環境アセス)の在り方に関する報告書を公表した。環境アセスが必須となる第一種事業を連係出力ベースで40MW(メガワット)以上、地域特性などをふまえて実施を判定する第二種事業を同30MW以上と明記。2019年夏をめどに法改正手続きを進める方針で、順調に進めば2020年度から適用される見込みだ。
環境アセスの対象とする事業規模の基準については、国内に導入されている太陽光発電所の敷地面積と出力規模の相関などのデータを基に算出した。各自治体が定める条件では、環境アセスの対象を50ha(ヘクタール)以上とするなど、規模要件の指標を面積としている例が多い。そこで、国の法令に基づく環境アセスメントでは規模要件を交流出力ベースとし、法と条例の規模要件を異なる指標とすることで、環境影響評価を実施すべき事案を確実に対象に含められるようにする狙い。こうした規模要件については、5年程度で見直しを行う方針だ。
仮に2020年度から環境アセスが適用される場合、気になるのがFIT制度に基づいて既に「運転開始期限」が設定されている案件の取り扱いだ。環境アセスによって稼働が運転開始期限に間に合わなくなり、売電期間が短縮されることも想定される。その場合、事業計画を見直す必要がある案件も出てくるとみられる。
この点については環境省が実施したパブリックコメントでも指摘があり、同省では「施行日や経過措置、運転開始期限の延長等の対応については、関係省庁と適切に連携する」と回答している。
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