パネルの下で「しきみ」を栽培、四国最大級のソーラーシェアリング:自然エネルギー
愛媛県松山市に四国エリアで最大級となるソーラーシェアリング発電所が完成。太陽光パネルの下では仏事などに用いられる「樒(しきみ)」を栽培する。
太陽光発電を中心とした再生可能エネルギー事業を展開するe-flat(東京都中央区)は、愛媛県松山市で開発を進めていたソーラーシェアリング発電所(営農型太陽光発電所)がこのほど完成したと発表した。四国エリアでは最大級のソーラーシェアリングになるという。
同施設は総面積約8ha(ヘクタール)の敷地に、総出力3.6MW(メガワット)の太陽光発電システムを設置したもの。太陽光パネルの下では、常緑小高木で仏事に用いる「樒(しきみ)」を栽培する。2018年12月に約2300本を定植し、年間約47トンの収穫量を想定している。発電した電力は「再生可能エネルギーの固定買取価格制度」を利用して売電し、年間売電収益は1.8億円を見込んでいる。
近年、農業就業者の高齢化や農家の後継者不足など、国内の農業を取り巻く厳しい環境を背景に、耕作放棄地が年々増加傾向にある。この耕作放棄地対策や農業を支えるための施策としてソーラーシェアリングは注目されている。e-flatでは、2015年から農業指導や農業代行などを営業事業に携わるe-farmを設立。e-flatの太陽光発電事業のノウハウを掛け合わせ、2017年3月に茨城県かすみがうら市、および2018年4月に千葉県芝山町にそれぞれぶどう農業シェアリング発電施設を開設した。今回の松山市でのソーラーシェアリング施設は3カ所目となる。
同社は引き続き農業シェアリングを積極的に推進し、営農の持続的成長と耕作放棄地の活性化に取り組む方針だ。
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