積水化学の卒FIT太陽光の買い取り、単価は最大12円/kWh:太陽光
積水化学工業が住宅太陽光の卒FITユーザーに向けて提供する余剰電力買取サービスの価格を公表。同社の住宅ユーザーが対象で、買取単価は太陽光発電システムのみを利用している場合は9円/kWh(キロワット時)、蓄電池も導入する場合は12円/kWhに設定した。これらのサービスを通じ、将来は仮想発電所の構築も目指すという。
積水化学工業(以下、積水化学)は2019年4月15日、「再生可能エネルギーの固定買取価格制度(FIT)」による電力の買取期間が終了する住宅太陽光発電ユーザー向けの余剰電力買取サービスについて、価格を公表した。同社の住宅ブランド「セキスイハイム」のユーザーが対象で、買取単価は太陽光発電システムのみを利用している場合は9円/kWh(キロワット時)、蓄電池も導入する場合は12円/kWhに設定した。買い取った電力の販売も行う計画で、これらの電力買売サービスを「スマートハイムでんき」というブランド名で展開する。
同社ではソーラーパネルや蓄電池を搭載したエネルギー自給自足型住宅「スマートハイム」を展開しており、これまで太陽光発電搭載住宅の販売数は累計約20万棟、蓄電池の販売数は累計約1.9万台(ともに2018年12月末)の実績を持つ。このうち、2019年にFITによる買い取りが終了するユーザー、いわゆる卒FITを迎えるセキスイハイムユーザーは約6万棟にのぼるという。日本全体で2019年中に卒FITを迎えるのは約54万棟といわれており、6万棟はその1割以上に相当する。
積水化学はこうした自社で販売した太陽光発電搭載住宅や蓄電池を分散電源と捉え、余剰電力の買い取りを行うことで顧客に対するサービスを拡充する狙いがある他、買い取った電力を国内の自社工場や事業所で活用し、事業におけるCO2排出量の削減に生かす方針。セキスイハイムユーザーへの販売も行う計画で、2019年7月頃に価格を発表するとしている。 2021年度末までに3万8000件への販売を目指す方針だ。
なお、今回発表した買取単価は、2020年3月までにFITによる買い取りが終了するユーザーが対象で、2021年3月までの価格となる。既に仮申込受付を開始した。サービスは2019年11月から開始し、2021年度末までに5万5000件、電力量にして14万3000MWh(メガワット時)の買い取りを目指す。さらに2030年度末にこの買い取り件数を18万6000件に広げ、目国内73拠点の積水化学グループ工場・事業所の電力需要量(2017年度実績)に相当する67万5000MWhの買い取りを目指す方針だ。
これらの取り組みと平行して、2020年度までにセキスイハイムに設置した多数の蓄電池を統合制御し、1つの発電所とみなすVPP(バーチャルパワープラント)の構築も目指す。VPPの構築によって各住宅の蓄電池を系統安定化に寄与する調整電源として活用できるようにし、その対価を顧客に還元できる新サービスの創出を目指すとしている。
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