京セラが「世界初」の新型リチウムイオン電池を量産化、卒FITユーザーを取り込めるか:蓄電・発電機器(2/2 ページ)
京セラが粘土(クレイ)状の材料を用いて電極を形成する「クレイ型リチウムイオン蓄電池」の量産化を決定。高い安全性と長寿命、低コスト化が可能なのが特徴で、採用第1弾製品として住宅用蓄電システムを2020年に販売する計画だ。
安全・長寿命・低コストが強み
京セラではクレイ型リチウムイオン電池の特徴の強みとして、安全性の高さ、長寿命性、低コストの3つを挙げている。安全性は液体の電解液を使用しない点やセルの構造、正極材料に安全性の高いリン酸鉄リチウム(LiFePO4)を採用していることが貢献しており、各種の耐久試験でも、発煙や発火は認められなかったという。
長寿命性については、電極材料に練り込む電解液の選定、住宅用に最適化した電池の設計や制御が貢献しており、一般的な住宅用蓄電池の保証期間が10年間なのに対し、今回発売するエネレッツァでは15年としている。
低コストについては、粘土状の電極材料を厚塗りするという構造によって、集電箔やセパレータの使用数が少なくて済む他、バインダーも不要なため、部材コストを20〜40%削減できる点が寄与している。電極などの製造も簡素化できるため、製造コストも抑えられるという。
京セラはこのクレイ型リチウムイオン電池について、約100億円を投じて滋賀野洲工場(滋賀県野洲市)に新たな生産ラインを設け、2020年秋から本格的な量産を開始する予定。将来的にはさらにクレイ型リチウムイオン電池のエネルギー密度の向上を図り、産業用途の蓄電システムや、電気自動車(EV)のバッテリーなども展開していきたい考えだ。
住宅用蓄電池については、卒FIT市場の拡大に合わせて注目が集まっているが、一般に価格の高さが導入のネックになると指摘される。京セラが販売するエネレッツァの価格はオープンとしているが、低コストなどの特徴を持つクレイ型リチウムイオン電池の採用により、実売価格がどの程度の水準となるのかに注目だ。
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