離島の電力を100%再エネ化へ、沖縄・宮古島で太陽光×蓄電池のシェアリング実証:自然エネルギー
宮古島市、ネクステムズ、東芝インフラシステムズ、および東芝エネルギーシステムズは、大型蓄電池を活用し、複数拠点で発生する太陽光発電システムの余剰電力を既存の電力系統を活用して充放電する、蓄電池シェアリングに関する技術検証を宮古島市来間島にて実施すると発表した。
宮古島市、ネクステムズ、東芝インフラシステムズ、および東芝エネルギーシステムズは2019年12月19日、大型蓄電池を活用し、複数拠点で発生する太陽光発電システム(以下、PV)の余剰電力を既存の電力系統を活用して充放電する、蓄電池シェアリングに関する技術検証を宮古島市来間島(くりまじま)にて実施すると発表した。沖縄県が取り組む「スマートエネルギーアイランド基盤構築事業」の一貫であり、検証期間は2020年1月6日〜1月31日まで。
宮古島市および東芝グループは、同事業において、2014年に出力100kW(キロワット)、容量176kWh(キロワット時)の大型蓄電池を来間島に設置し、島内の消費電力を再生可能エネルギーと定置型蓄電池で100%賄うことを目指した“再生可能エネルギー100%自活実証”を行い、その有効性を確認している。本検証において、平常時でも再生可能エネルギーの余剰電力吸収に活用することを目指す。
今回、宮古島内の市営住宅40カ所に余剰電力を監視するためのゲートウェイ装置を設置し、東芝グループが保有するバーチャル・パワープラント(VPP)システムにより、各拠点のPVの余剰電力量や蓄電池の充放電可能量に基づき蓄電池の充放電を分単位で制御する。蓄電池の充放電の過程において発生する電力損失の影響、および現行の計画値同時同量制度注を加味した30分以内の細やかな制御の実現性を検証する。
宮古島市は、2019年に「エコアイランド宮古島宣言2.0」を発表した。再生可能エネルギーの積極的な導入により、市内におけるエネルギー自給率を2016年の2.9%から50年に48.9%まで高めることを掲げている。しかし、再生可能エネルギーは天候に左右されるため、その普及には蓄電池などの調整力が必要となるが、普及が進んでいない。本検証により蓄電池シェアリングの有効性を確認することで、公共施設などに設置したBCP(事業継続計画)用途の蓄電池を平常時にも複数用途で活用できるようになる。蓄電池の導入促進により、今後さらなる再生可能エネルギーの導入が可能になり、電力供給の安定化への貢献やエネルギー自給率の向上が期待される。
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