落差55.7mを利用して830世帯分を発電、長野県塩尻市で水力発電所が稼働:自然エネルギー
グリーン電力エンジニアリングが長野県塩尻市で開発を進めていた水力発電所が本格稼働を開始。総落差55.7mを利用して、一般家庭の約830世帯分の電力を発電する。
グリーン電力エンジニアリングが長野県塩尻市で開発を進めていた「塩尻市奈良井川萱ヶ平水力発電所」(長野県塩尻市)が完成し、2020年1月10日より本稼働を開始した。同社として、第1号の水力発電所である。
同発電所は、信濃川水系奈良井川の流水を利用した、取水部流域面積19.6km2の発電所である。総落差55.7mを利用して、一般家庭の約830世帯分に相当する年間300万kWh(キロワット時)を発電する。発電形式・方式は、水路式・流れ込み式である。
また、本発電所の発電設備は、グループ会社の朝日機工で製造したものを使用し、計画から供用開始までの期間短縮と発電設備の調達コストの低減化を図った。グリーン電力エンジニアリングでは、今後、自らが発電事業者として水力発電所を展開していくほか、そのノウハウを生かし、水力発電事業を検討している他事業者へのコンサルティング業務も積極的に行っていく。
発電所の計画にあたっては、塩尻市の新エネルギー計画に整合し、新エネルギー利用促進などの観点に一致した事業として、同市から河川の紹介などで協力を得た。同市では、木質バイオマス発電を含む「信州F・POWERプロジェクト」を推進しており、地域電力設立によるエネルギーの地産地消を実現するなど、再生可能エネルギーの利活用に積極的である。同社は、同市の取り組みに賛同し、同市地域電力との連携のほか、発電プラント工事の地元企業への発注や雇用創出、地域活動への参加などを通じて、地域の活性化に貢献していく。
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