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トヨタがエアレス塗装機を新開発、塗装工程におけるCO2排出を7%削減:省エネ機器
トヨタが静電気を活用し、空気を使わない新型の塗装機(エアレス塗装機)を開発。塗装効率を大幅に高められる他、トヨタグループの塗装工程におけるCO2排出量が7%程度削減できる見込みだという。
トヨタ自動車は2020年3月、静電気を活用し、空気を使わない新型の塗装機(エアレス塗装機)を開発したと発表した。車体塗装工程における塗着効率(塗装の際に噴霧した塗料に対して実際に車体に塗着する塗料の割合)を従来型の60%〜70%程度から、世界最高レベル95%以上に向上させた他、トヨタグループの塗装工程におけるCO2排出量が7%程度削減できる見込みだという。
従来のエアスプレー式の塗装機は、主に空気の力で塗料を微粒化し、微粒化した粒子を空気で車体に塗着を行っている。このため、車体から跳ね返った空気によって塗料の粒子が吹き飛ばされることにより、塗着効率は60〜70%程度だった。これに対して新型のエアレス塗装機は、電気で塗料を微粒化(静電微粒化)するとともに、静電気を帯びた粒子が車体に引き寄せられるように塗着(静電塗装)する。静電微粒化および静電塗装の技術により、微粒化された粒子の飛び散る量が大幅に減少し、これにより塗着効率を実現した。
トヨタは2015年に公表した「トヨタ環境チャレンジ2050」の一つとして、「工場CO2ゼロチャレンジ」の実現を目指している。エアレス塗装機の開発はこの一環となる取り組みで、まず、高岡工場と堤工場に導入し、今後は他工場へ順次展開する計画。その後、トヨタグループ会社での導入やグループ外への技術供与も検討するとしている。
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