中部電力が「再エネ出力制御」の準備を開始、発電事業者などと協議へ:自然エネルギー
中部電力は2020年3月25日、再生可能エネルギー発電設備の導入量増加を受け、出力制御の実施に向けた準備に入ると発表した。中長期の状況を見据え、関係団体および発電事業者などと協議を開始するという。
中部電力は2020年3月25日、再生可能エネルギー発電設備の導入量増加を受け、出力制御の実施に向けた準備に入ると発表した。中長期の状況を見据え、関係団体および発電事業者などと協議を開始するという。
中部エリアでは2019年12月末時点の再生可能エネルギー電力の連系量が太陽光発電872万kW(キロワット)、風力発電37万kWと、合計908万kWに達している。同時点での接続申し込み実績は太陽光発電の接続契約申し込みが283万kW、接続検討申し込みが105万kW、風力発電はそれぞれ251万kW、1032万kWで、特に大規模な洋上風力の接続検討申し込みが増加した。申し込みの申請は今後も増加する見込みだという。
こうした状況から、2019年5月の大型連休における太陽光発電出力は668万kW、風力の出力は18万kWの合計686万kWとなり、中部エリアの総需要1059万kWの65%に達した。2019年は水力発電が平年より55万kW減少したため揚水余力を284万kW確保できたが、需要減少・揚水式発電機のトラブルなどを考慮すると、より厳しい状況になるという。
電力供給量が需要を上回る場合は「優先給電ルール」に基づき、火力発電や水力発電の運転調整や地域間連系線を活用した広い範囲での系統運用などにより需給バランスの維持を行う計画。ただ、こうした取り組みでも供給を需要が上回る場合は出力制御が必要になる。
現状、ただちに再生可能エネルギー電源の出力制御が必要な状況ではないが、今後も再生可能エネルギー電源の接続量が増加する見通しであることや、2020年に入り国の審議会において再エネ出力制御システムの構築を順次進める方針が示されたことなどを踏まえ、関係団体および発電事業者などと協議を開始するという。
経済産業省は2020年3月に開催した審議会で、東京電力、中部電力、関西電力の、いわゆる中三社が管轄するにおいて、再生可能エネルギーの「接続可能量(30日等出力制御枠)」の算定を進める方針を示した。再生可能エネルギー電源の接続量が増える中、出力制御を可能な限り回避するため、出力制御機能付きパワーコンディショナーへの切り替えの推進など、設備形成や運用面での対策などを進めていく計画だ。
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