透明でも太陽光で発電するガラス、NTT-ATが2020年秋から販売へ:蓄電・発電機器
NTTアドバンステクノロジが透明な意匠性を保ったまま、赤外光を吸収し発電する太陽電池の機能を持った高機能建材ガラスを2020年10月から販売する。
NTTアドバンステクノロジは2020年5月、無色透明型光発電素子「SQPV(Solar Quartz Photovoltaic)」技術を使用して製造した高機能ガラス製品の販売において、inQsと日本国内独占販売契約を締結したと発表した。透明な意匠性を保ったまま、赤外光を吸収し発電する太陽電池の機能を持った高機能建材ガラスとして、2020年10月から販売を開始する計画だ。
SQPVは紫外光と赤外光を吸収し発電する技術。可視光は透過するため一般のガラスが使える全ての用途において、遮熱と発電という機能を付加できるという。この一般のガラス並に可視光を透過しつつも、赤外光を吸収(遮熱)する特徴を生かし、デザイン性の高い省エネルギー遮熱・発電ガラス材料としての用途開拓が可能であり、特に遮熱効果はビルなど省エネに有効という。
この技術を開発したinQsは2011年創業のベンチャー企業。同社とNTTアドバンステクノロジは3年前より協業を進めており、inQs製の室内光や低照度環境下で発電できる極低照度型光発電素子を利用したIoT機器向け独立電源などを開発している。
NTTアドバンステクノロジは今回の契約により、SQPVを使用して製造した高機能ガラス製品を国内で独占販売する。「ネット・ゼロ・エネルギー・ビルディング(ZEB:Net Zero Energy Building)」向けを中心に提案を進める他、瞬間調光ガラスやIoTセンサーと組み合わせ、電源不要な調光ガラスやセンサー付きガラスなど応用製品の開発も他社と協力しながら開発する方針だ。
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