再エネ×蓄電池で建設現場のCO2削減、戸田建設らが実証実験:自然エネルギー
佐藤工業、戸田建設、村田製作所が建設現場における再エネ活用と移設容易な創蓄システムの実証研究を実施。再エネと蓄電池で建設現場のCO2排出量削減を実現するビジネスモデルの構築を目指す。
佐藤工業、戸田建設、村田製作所は2020年4月、福島県における再生可能エネルギーの導入促進のための支援事業補助金を活用し、3社共同で建設現場における再エネ活用と移設容易な創蓄システムの実証研究について発表した。
補助金事業は最長2年間の実証研究であり、初年度は2019年10月に採択を受け、2020年2月に完了した。2020年度も継続事業として採択を受け、今後1年間かけてビジネススキームの構築を目指し実証実験を進める。この実証実験を通じて、建設現場における蓄電池システムを活用したCO2排出量の削減を検証する。
本実証実験では、福島県で事業を行う佐藤工業および戸田建設の建設現場に、戸田建設の太陽光発電システムの設置ノウハウを活用し、村田製作所のリチウムイオン二次電池「FORTELION(フォルテリオン)」を搭載した「All-in-One蓄電池システム」を設置することで、建設現場での再エネ利用の有効性を検証している。
さらに、各実証実験拠点に設置した専用リモコンからクラウド経由でデータを集約する多拠点一括管理システムを構築した。これで遠隔から各拠点での発電量、充放電量(蓄電状態)、系統電力の情報を監視できる。
本実証実験の特徴は、移設容易な蓄電池システムを導入していることである。独立した電源供給が可能なことから、再エネを施工エリアの長い河川や道路工事または山間部など受電が容易でない場所に点在している工事現場でも活用できる。また、折板葺き屋根や縦ハゼ葺き屋根など、異なる屋根形状でも設置可能で移設容易な太陽光パネルの架台を提案し、今後も多様な屋根への対応を検証する。
実証実験は2019年10月より、佐藤工業施工のミライアル東北事業所新築工事現場事務所、戸田・佐藤・東信JV施工の福島市一般廃棄物新最終処分場建設工事現場事務所、佐藤工業伊達支店の3カ所で順次実施し、使用した電力の内、再エネの占める割合が最大で55%であったことを確認し、建設現場での再エネ利用の有効性を実証することができた。
2020年度も再エネの利用拡大に向け、蓄電池システム増設、取得データの分析により最適稼働制御機能の追加を行い、福島県内さらには、全国の建設現場への展開に向けて実証実験のエリアを拡大する計画である。
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