燃料電池車「MIRAI」のパーツを活用した水素発電システム、トヨタらが実証運用:蓄電・発電機器
「MIRAI(ミライ)」のシステムを活用した燃料電池システムの実証がスタート。化学薬品の製造時に発生する副生水素を活用し、工場の省エネに活用する。
トクヤマとトヨタ自動車(以下、トヨタ)は2020年6月、燃料電池自動車(FCV)「MIRAI(ミライ)」の燃料電池システム(FCシステム)を活用した定置式の燃料電池発電機(以下、FC発電機)の実証運転を開始した。山口県周南市のトクヤマ徳山製造所内に設置したもので、実証は2022年3月末まで行う計画だ。
FC発電機はトヨタエナジーソリューションズと共同開発を進めているもので、MIRAIに搭載されているFCスタック、パワーコントロールユニット(PCU)、2次電池などのFCシステムを流用。これにより低コストかつ高性能な発電システムの実現を目指している。
今回導入したFC発電機は、2019年9月から愛知県豊田市のトヨタ本社工場内で実証運転中の出力100kWのモデルをベースとしつつ、定格出力を50kWに変更し、部品レイアウトの見直しなどによりメンテナンス性向上などの改良を加えた。外形寸法は2.9×1.5×2.7メートル、重量3.5トンで、送電端発電効率は50%を目標としている。
今回の実証は開発したFC発電機の性能検証に加え、トクヤマが食塩電解法で苛性ソーダを製造する時に副次的に発生する水素を燃料として活用することも目的としている。
製造時に発生する水素を利用して発電し、その電力を製造所内に供給することで、エネルギー利用の効率化に活用する狙いだ。実証では外部から水素を購入した場合と比べた燃料代などの経済性も試算する。
今回の実証を通じて、トクヤマは副生水素供給能力を持つ総合化学メーカーとして、副生水素を活用した地域貢献モデル事業の検討を進めるという。トヨタは、FC発電機の普及に向けてFC発電機の出力ラインアップの拡大、エネルギー効率や耐久性向上・コンパクト化・コスト低減等の商品力強化に向けた研究・開発とビジネスモデルの検討を行うとしている。
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