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コロナ禍を乗り越え、新エネルギー社会へ――太陽光は主力電源になり得るのか?:太陽光(3/3 ページ)
コロナ禍は、日本の太陽光発電に、どのような影響をもたらすのか。世界のエネルギー情勢は、これを機に変わっていくのか。太陽光発電協会(JPEA)の最新発表のポイントを解説。あわせてIEA(国際エネルギー機関)によるグローバルレビューを紹介する。
再エネ比率急伸。再エネだけが2020年も成長する
コロナ禍による経済活動の停滞により、エネルギー需要は地球規模で減少している。そして、ほとんどの電源が供給量を落とすなか、国際的には、再エネ比率がこれまでになく高まっている。このことは、IEA(国際エネルギー機関)が4月末に発表した「Global Energy Review 2020」に明確に示されている。欧州を中心に、既に相対的に“安い”電源となっている再エネが、他の電源に優先して使われている格好だ。
2020年を通してみても、他の電源の落ち込みをよそに、再エネだけが伸びるとIEAは試算する。具体的には、石油消費量は2012年レベルまで下落、原子力も大幅減少、近年中断のない成長を続けてきた天然ガスも5%減少する。一方で唯一、再エネのみが通年で増加するということだ。
出典:IEA「Global Energy Review 2020」
日本国内では、まだ再エネに関して、明確にポジティブな見通しは立てられていない。しかし、こうした国際的なエネルギー情勢の変化は、日本にもやがて及んでくる。コロナ禍にみまわれている今こそが、「人に優しいエネルギー社会への転換点になる」というJPEAの見立ては間違っていないだろう。JPEAビジョンの実現に期待したい。
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