東電と関電が新組織、分散電源による脱炭素化とレジリエンス強化へ連携:自然エネルギー
東京電力パワーグリッドと関西電力送配電が、エネルギーの脱炭素化や非常時を想定したレジリエンス強化に向け、分散型エネルギーリソース(DER)の活用を推進する協議会「スマートレジリエンスネットワーク」を設立。既存インフラとDERを組み合わせ、脱炭素化とレジリエンス強化を目指すという。
東京電力パワーグリッドと関西電力送配電は2020年8月5日、エネルギーの脱炭素化や非常時を想定したレジリエンス強化に向け、分散型エネルギーリソース(DER)の活用を推進する協議会「スマートレジリエンスネットワーク」を設立したと発表した。
DERの利用拡大、有事の際のDERの活用方法、事業機会拡大の3テーマについてワーキンググループを設置し、3年程度かけて検討を進める。協議会はオープンな組織とし、さまざまな業種の企業や、自治体、団体などの参加を募る。
協議会の設立背景について、東京電力パワーグリッドの岡本浩氏副社長は「2019年の台風15号に伴う停電復旧対応では、非常に大きなご迷惑おかけした。レジリエンスの強化に向けてはインフラ側のオペレーションを含めて、さまざまな面で改善すべき点があると考えている。さらに、これからは分散電源(DER)が地域に入ってくる時代。こうしたDERと既存のインフラが一緒になり、リソースを地域で活用できるよにすることでレジリエンス向上につなげられるのではないかと考えている。同時に気候変動対策に向けたエネルギーの脱炭素化を実現できるようにしたい」と話す。
また、協議会が目的とする脱炭素化とレジリエンス強化を実現するにあたっては、データ活用の重要性を訴える。「インフラおよびDERのさまざまなデータの活用と共有が非常に重要だと考えている。どこでどれだけの電力が必要なのか、その時使えるリソースはどれくらいあるのかなどを精緻に把握する必要がある。そのためにはデータ連携が必須。民間企業だからこそ可能なデータ活用やデジタル技術の活用を模索していきたい」(同氏)
協議会は設立時点で、東京電力パワーグリッドと関西電力送配電の他、7名の有識者が参加。今後、さまざまな業種の企業や、自治体、団体などの参加を募り、現時点では30者程度の参加を見込んでいるという。
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