太陽光のセカンダリー市場は「売り手市場」、取引量は年間1000MW超へ:太陽光
矢野経済研究所が国内の太陽光発電所セカンダリー市場に関する調査結果を発表。2020年度のセカンダリー市場規模は発電出力ベースで970MWと推計しており、今後も継続的に拡大する見込みだという。
矢野経済研究所は2020年9月17日、国内の太陽光発電所セカンダリー市場に関する調査結果を発表した。2020年度のセカンダリー市場規模は、発電出力ベースで970MW(メガワット)で、今後も拡大する傾向にあると予測している。
調査では2019年度に取り引きされた稼働中の国内太陽光発電所を、発電出力ベースで730MWと推計。再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)において、事業用太陽光発電の新規認定案件における売電単価が年々下落していることを受け、稼働中の太陽光発電所の中で、収益性に優れる物件の取得を検討する発電事業者や投資家などが増えているという。
その一方で、太陽光発電所の所有者側では、発電事業の見直しや災害リスク、発電設備の維持・管理コストなどを理由に、発電所の売却先を探す例があるとしている。
また、再生可能エネルギー分野を成長領域とみている事業者や投資家の中には、新設や稼働中を問わず、太陽光発電所の所有件数を増やす動きもみられるという。2020年上半期時点では、売却される予定の太陽光発電所に対して、買い手側の需要が上回っていることから、取引価格は高止まりしており、売り手市場の様相を呈しているとした。
こうした状況から太陽光のセカンダリー市場規模は、2020年度は前年度比240MW増の970MWに拡大し、さらに2021年度には1210MWになると予測。今後も稼働中の太陽光発電所を購入するニーズが継続的に発生する見通しで、稼働中の太陽光発電所を低リスクの資産とみなし、ウィズコロナ時代においても太陽光発電所の買い手側の需要は大きく減少しない見込みであるとした。
関連記事
- その太陽光発電、転売できない可能性も! セカンダリー市場に向け今必要な視点
稼働済みの発電所を売買する「セカンダリー市場」。日本でも将来の市場活性化が見込まれるものの、足元の状況をみると大きな問題も。 - 太陽光の自己託送運用を自動化、蓄電池を使わず余剰電力を管理可能に
日新電機が太陽光発電の自己託送システムを自動運用できる新しいエネルギーマネジメントシステム(EMS)を開発。太陽光発電による自己託送運用の自動化は、国内初だという。 - これからの太陽光発電、「デューデリジェンス」が事業の明暗を分ける
2017年4月から施行された改正FIT法。長期的な事業計画の策定や適切な運用保守が求めるようになるなど、太陽光発電事業を取り巻く環境は大きく変化した。こうした中で、今後の太陽光発電事業を成功させるためるには、どういった点に注意する必要があるのか。横浜環境デザインが解説する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.