太陽光の自己託送運用を自動化、蓄電池を使わず余剰電力を管理可能に:太陽光
日新電機が太陽光発電の自己託送システムを自動運用できる新しいエネルギーマネジメントシステム(EMS)を開発。太陽光発電による自己託送運用の自動化は、国内初だという。
日新電機は2020年9月14日、太陽光発電の自己託送システムを自動運用するエネルギーマネジメントシステム(EMS)を開発したと発表した。既に同年7月から販売を開始している。
自己託送とは太陽光発電などで自家発電した電力を、既存の送配電網などを利用して離れた拠点に託送できる制度。脱炭素化を実現するソリューションの1つとして企業を中心に導入する事例も登場しはじめている。
一方、自己託送を活用する場合、休日などの電力需要が少ない日には、余剰電力が生じる。この余剰電力を自己託送し、離れた自社拠点で活用するためには、さまざまなオペレーションや、蓄電池の導入が必要になるなど、手間とコストが掛かる。
日新電機が開発したEMSはこれらの課題解決を目的としたもので、大きな特徴は2つ。1つは自己託送を利用する場合に電力広域的運営推進機関に対して提出する必要がある余剰電力量計画値の作成と、その計画を実現するための発電量制御に関する作業の自動化に成功したという。太陽光発電による自己託送運用の自動化は、国内初としている。
もう1つは、太陽光発電のみでの自己託送運用を可能とする点だ。一般的に太陽光発電は発電量が変動するため、託送計画の立案が難しい。そこで同社のEMSは太陽光発電の余剰電力を予測し、予測データに基づく託送計画を立案。変動によって余剰電力が計画値を上回りそうな場合は、蓄電池などの調整力がない環境でも、リアルタイム制御で太陽光発電の出力を抑制し、計画値同時同量となるように制御するという。
日新電機では開発したEMSについて、同社の統合エネルギー管理システム「ENERGYMATE-Factory」の新機能として提供。自家消費太陽光発電システムと組み合わせたシステム提案などを進めるとしている。
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