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CO2を“削減する”バイオマス発電所を実現、東芝が大規模CO2分離回収を実証:自然エネルギー
東芝エネルギーシステムズが福岡県大牟田市のバイオマス発電所にCO2を分離回収する大規模な実証設備(CCS)を導入。世界初の大規模なCCS付きバイオマス発電対応設備になるという。
東芝エネルギーシステムズは2020年10月31日、グループ会社のシグマパワー有明が所有するバイオマス発電所「三川発電所」(福岡県大牟田市)において、排出されるCO2を分離回収する大規模な実証設備(CCS)の運転を開始したと発表した。世界初の大規模なCCS付きバイオマス発電設備になるという。
三川発電所は、主燃料はパーム椰子殻(PKS)とする出力50MWのバイオマス発電所。東芝エネルギーシステムズ、2009年9月に同発電所内に1日あたりCO2回収量10t規模のパイロットプラントを建設し、CCS技術の開発、改良、実証を進めてきた。
今回新たに稼働した大規模CCS設備は発電所の隣接地に設置したもので、1日の排出量の50%にあたる500t以上のCO2を分離回収できる性能を持つ。火力発電所から排出されるCO2の50%以上を回収できる設備は日本初だという。
三川発電所はパーム椰子殻を主燃料としたバイオマス発電所なため、「カーボンニュートラル」な発電所といえる。そこにCO2を分離回収するCCS技術を適用することで、過去に排出され大気中に蓄積したCO2を除去する「ネガティブエミッション」を実現できるという。
なお、今回の事業は環境省の「環境配慮型CCS注2実証事業」の一環。東芝エネルギーシステムズを含む18法人が委託を受けている。
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