ソニーが再エネ制御ソフトを無償公開、直流マイクログリッドの構築を支援:エネルギー管理
ソニーCSLが独自開発した直流マイクログリッド向けの制御ソフトウェアを無償公開。オープンイノベーションを促すことで、再エネを活用する直流マイクログリッドのスピーディーな普及拡大への貢献を目指すという。
ソニーコンピュータサイエンス研究所(ソニーCSL)は、独自開発のP2P(ピアツーピア)電力融通技術を活用したマイクログリッドシステムの中核モジュールである、電力融通制御ソフトウェアをオープンソース化し、2020年12月1日から無償提供を開始した。
同社はこれまでアフリカや沖縄などで再生可能エネルギーなどの分散電源をコントロールするマイクログリッドシステム「Open Energy Systems(OES)」の研究開発を進めてきた。OESは、DC(直流電源)を基盤としたマイクログリッドを構成できるのが特徴のシステムで、その中核となる自律的に電力融通制御を実現するのが無償公開を開始ししたソフトウェア「Autonomous Power Interchange System(APIS)」だ。
APISは分散設置されたバッテリー間においてP2Pでの電力融通を行うことができ、これにより再生可能エネルギーを主電源とした運用を可能とするマイクログリッドの構築を支援するという。コミュニティ内の個々の住宅や設備の需要や、再生可能エネルギーに発電量の増減に対しても柔軟に電力を自動融通でき、コミュニティ内の需給バランスを調整することで、電力自給率やレジリエンスの向上に寄与できるとしている。
実際に、沖縄科学技術大学院大学(OIST)と行った実証試験では、19戸の教員用住宅に設置された太陽光パネルとバッテリーシステムにAPISの技術を活用したエネルギー管理システムを搭載することで、1日の消費電力量のうち最大60.8%、年間平均33.3%を再生可能エネルギーで賄えているという。また、電気設備点検におけるAC電力供給停止時においても、約10時間にわたり継続的な電力供給を実現したとしている。
一方、このOESのようなDCマイクログリッド技術は、システム開発や制御に関する公開情報は少なく、実用レベルでの研究開発や新規事業者が参入するために活用可能な技術やツールが少ない状況にあるという。そこでソニーCLSでは、独自に開発を続けてきたAPISをオープンソース化し、さまざまな企業・団体が活用できるようにし、オープンイノベーションを促すことで、同社がこの技術を占有した場合より、遥かに迅速かつ大規模な導入の可能性が高まることを期待するとしている。
なお、無償公開されたAPISでは、マイクログリッド導入の検討にあたり、さまざまなパラメーターにおける電力融通の動作検証を行える他、APISと各バッテリーシステムに対応したデバイスドライバを準備することで、さまざまなハードウェアに対応する柔軟性の高いマイクログリッドを構築できるとしている。
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