多様化する「PPA」が再エネ導入を加速、自家消費を支える「蓄電池」にも新しい動き:太陽光(3/3 ページ)
2050年カーボンニュートラルに向けて、再生可能エネルギーへの関心が高まっている。一方で、再エネ業界にはFIT依存からの脱却が求められ、新たなビジネスモデルの確立が急がれている。「スマートエネルギーWeek2021」に、再エネビジネスの新トレンドを探った。
エコスタイル、オフサイト太陽光の自家消費を自己託送で実現
エコスタイルは、オンサイト(敷地内)/オフサイト(遠隔地)それぞれに、企業向けの非FIT太陽光発電ソリューションを提供する。オンサイトではPPAモデルの活用を提案、オフサイトでは自己託送による自家消費型太陽光発電システムの構築を打ち出す。
自己託送とは、電気を使う場所(需要地)から離れた土地に太陽光発電設備を設置し、発電した電気を一般送配電事業者の送配電網を利用して需要地に送り、自社の施設で使用する仕組み。遠くの所有地を活用して、自家消費型太陽光発電システムを構築することができる注目のスキームだ。
自己託送を利用する場合、需要家は発電者として太陽光発電量の計画を作成し、この計画値と実績値を一致させなければならない(計画値同時同量)。このためには高精度な発電量予測が必須となるが、需要家である一般企業には難しい作業でもある。エコスタイルは、独自に開発した発電予測技術を活用して、これを実現。発電量の予測・発電計画の作成を代行し、自己託送スキームを身近なものにしていきたい考えだ。
NTTインフラネット、再エネの地産地消を自営線構築で支援
NTTグループで情報通信インフラ(通信土木)を担ってきたNTTインフラネットは、自営線構築事業で再生可能エネルギー活用の可能性を広げる。自営線とは、太陽光をはじめとした再生可能エネルギー発電所から電力連係点までを結ぶ自前の送電ルートのこと。エネルギーの地産地消、地域での需給一体的な再エネ活用を目指す場合においても、地域内の複数の施設を結ぶ自営線ネットワークが重要な役割を果たす。
NTTインフラネットでは、自営線設備の占用可能ルートの検討から、自営線埋設設備や架空設備などに関する設計・施工をトータルに請け負う。スマートエネルギーWeekには2020年から出展しているが、「我々が想定していなかった幅広い業種のお客様がお見えになり、様々なお問い合わせをいただいています」とのこと。再生可能エネルギーをより広範に生かし、企業や社会の課題を解決する取り組みの一つとして、自営線構築への関心もこれまでになく高まっているようだ。
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