インバランス料金に2段階上限、電力価格高騰を受け経産省が省令改正:電力供給サービス
経済産業省がンバランス料金算定の基となる省令の改正を行ったと発表。インバランス料金に2段階の上限価格を導入する。
経済産業省は2021年6月16日、インバランス料金算定の基となる省令の改正を行ったと発表した。インバランス料金に2段階の上限価格を導入する。
2021年1月上旬、断続的な寒波により電力需要が大幅に増加した。一方で、LNGの在庫が減少したことで火力発電所の稼働を抑制する動きが広がり、供給力が低下したことで、電力需給がひっ迫する事態が発生。これに伴い、卸電力市場(スポット市場)への売り入札が減少し、売り切れ状態が継続した結果、一時、200円/kWhを超える水準まで市場価格が高騰した。
高騰により、市場からの電力の調達が困難となったことで、多額のインバランス料金支払いを抱える新電力(小売電気事業者)が相次いだ。新電力などの小売電気事業者は、当初の需給計画を遂行できない場合、その不足分をインバランス料金として一般送配電事業者に対して支払う義務がある。
今回の省令改正はこうした一連の流れを受けたもので、市場価格が需給ひっ迫状況等から乖離(かいり)して上昇することがないようにするために、インバランス料金の算定方法にセーフティネットを導入する。
具体的には、一般送配電事業者が前日夕方に公開する「でんき予報」上の各日に最初に公表された予想予備率(使用率ピーク時)が、複数の供給区域で3%以下となる場合、インバランス料金の上限価格を200円/kWhとする。上記以外の場合は、上限価格を80円/kWhとする。
なお、これは2021年度の暫定的な措置で、2022年度は広域的な予備率に応じ、より細かくインバランス料金の上限を算出する仕組みを導入する方針だ。
関連記事
- 電力価格高騰で資金繰り悪化、新電力の4社に1社が特例措置を利用
年始にかけて発生した電力市場価格の高騰。その影響によって、インバランス料金の支払い猶予措置を受けている新電力会社は全体の4分の1にのぼるという。帝国データバンクが独自の調査結果を発表した。 - 電力価格高騰で新電力56社が経産省に要望、「想定外利得の還元と情報公開を」
年末年始から続く電力市場価格の高騰を受け、新電力56社が経産省に要望書を提出。電力市場価格を形成している情報のさらなる公開と、高騰期間に一般送配電事業者がインバランスなどで想定外に得た利得を小売電気事業者と国民に還元することの2点を求めている。 - 経産省が新電力に救済措置、市場価格高騰でインバランス上限を200円/kWhに
資源エネルギー庁は卸電力市場価格が高騰していることを踏まえ、インバランス等料金単価の上限を200円/kWhとする措置を発表。当面のインバランス料金に上限を設ける、新電力への救済措置だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.