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電力価格高騰で新電力56社が経産省に要望、「想定外利得の還元と情報公開を」電力供給サービス

年末年始から続く電力市場価格の高騰を受け、新電力56社が経産省に要望書を提出。電力市場価格を形成している情報のさらなる公開と、高騰期間に一般送配電事業者がインバランスなどで想定外に得た利得を小売電気事業者と国民に還元することの2点を求めている。

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 年末年始から続く、電力受給の逼迫(ひっぱく)を要因とした電力市場の価格高騰。この状況を受け、新電力56社らは2021年1月18日、共同で梶山弘志経産相に要望書を提出した。

 連日の寒波による電力需要の増加に加え、天候不順による太陽光発電の発電量低下や、火力発電用のLNG(液化天然ガス)の在庫不足などが影響し、卸電力市場における近時のスポット市場では、約定価格が200円/kWhを超える日が続出した。

 新電力の多くは、自社で電源を持たないケースも多い。そうした中、市場価格高騰の影響で電力調達が行えず、事前に提出している需給計画を達成できない場合、不足分をインバランス料金として支払う必要がある。このインバランス料金は市場価格と連動するため、価格が高騰すれば、新電力の負担も大きくなる仕組みだ。なお、経産省は2021年1月17日の供給分から、インバランス等料単価の上限を200円/kWhとする措置を導入した。


直近の電力卸売市場価格の推移 出典:経済産業省

 これらの状況を受け今回56社の新電力では経産省に対し、「市場の需要曲線や供給曲線、燃料在庫状況など市場価格を形成している情報の公開」と、「高騰期間に一般送配電事業者がインバランスなどで想定外に得た利得を小売電気事業者と国民に還元すること」の2点を要望として提出した。


56社による経産省への要望書(クリックで拡大)

 1点目の情報公開については、現状、各事業者は全国の電源の運転状況に関係なく、主に前日の約定結果を参考にm確実に約定できる価格で札入れを行っており、これが本来の可変費ベースの供給曲線と、効用ベースでの需要曲線の交点で決まるべき約定結果を歪める結果につながっているとする。各小売電気事業者がより適正な価格で入札行為が実施できる環境を整えるために、市場に関する情報の公開を求めるとした。

 2点目については、市場価格と連動するインバランス単価は、市場価格の高騰によって、一般送配電事業者の調整力調達コスト(限界費用)を大きく超えると想定されるとし、今回の市場価格高騰の原因検証・究明を経てたのち、一般送配電事業者が想定外の利得を得ているものと認められる場合は、その利得の還元を求めている。

 インバランス単価については、遡及的な見直し、または託送料金の減額などでによる還元を求めるとした。ただし、遡及的に見直す場合、高騰した単価で約定し、供給力確保義務履行を務めた事業者が、インバランスを中心に補給を受けた事業者よりも経済的に不利にならない還元とすることも要望している。

今回の要望に賛同した56社(五十音順)

 アスエネ株式会社、株式会社アメニティ電力、アンビット・エナジー・ジャパン合同会社、株式会社イーエムアイ、飯田まちづくり電力株式会社、株式会社いちたかガスワン、岩手電力株式会社、エネックス株式会社、株式会社エネファント、エフビットコミュニケーションズ株式会社、加賀市総合サービス株式会社、香川電力株式会社、格安電力株式会社、葛尾創生電力株式会社、岐阜電力株式会社、グリーナ株式会社、グリーンピープルズパワー株式会社、グローバルソリューションサービス株式会社、株式会社コープでんき東北、株式会社サイサン、自然電力株式会社、信州電力株式会社、株式会社翠光トップライン、須賀川瓦斯株式会社、株式会社スマートテック、たんたんエナジー株式会社、株式会社地域電力、株式会社地球クラブ、秩父新電力株式会社、株式会社中海テレビ放送、銚子電力株式会社、デジタルグリッド株式会社、株式会社とっとり市民電力、株式会社登米電力、富山電力株式会社、株式会社ナンワエナジー、株式会社能勢・豊能まちづくり、パワーネクスト株式会社、一般社団法人東松島みらいとし機構、株式会社坊っちゃん電力、株式会社マルヰ、宮崎電力株式会社、みんな電力株式会社、株式会社やまがた新電力、UNIVERGY株式会社、四つ葉電力株式会社、株式会社リケン工業 株式会社リミックスポイント、株式会社Looop、ローカルエナジー株式会社、他6社

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