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再エネ比率40%超でコロナ禍からの復興目指せ――道府県の協議会が提言(2/3 ページ)

「2050年カーボンニュートラル」を、コロナ禍からの復興と地域社会の活性化につなげていくために。創立10周年を迎えた自然エネルギー協議会が、政策提言書を取りまとめた。

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地域社会から経済と環境の好循環を

 同提言書では、カーボンニュートラルを地域振興に結び付けていくための方策についても多くを割く。まず、改正温対法において、自治体の再エネ導入目標と促進区域などの設定がルール化されたことを踏まえ、再エネの最大限導入と長期安定稼働を両立させるための「明確な基準・指針の提示、国による支援体制の構築」などを求める。また、発電施設を設置する地域において、「地元からの雇用を積極的に進める事業者に対する支援」を要望する。

 なお、改正温対法では、発電施設による環境・景観への影響について、促進区域の設定に際して地元自治体の意見を反映するなど一定の解決が図られた。ただし、再エネと地域との共生の観点からは不十分であるとし、「促進区域以外の地域においても同様の仕組みを構築すること」、さらに「太陽光パネルの処分について、より環境負荷の少ないリサイクルの促進に向けて、家電リサイクル法のように制度化すること」などを求めている。

 法人事業税については、「地域のインフラを利用して得た利益は地域に還元すべきこと」。また、「新たな基金の創設など、自治体が機動的に運用できる十分な財源を確保すること」などを掲げる。


図3 法人税収などの地域還元も要望 出典:自然エネルギー協議会

 FIT制度に関しては、「2020年度から地域活用要件が先行導入されているが、一方でFIT認定数が激減している状況も見られる」として、「地域活用要件を柔軟に解釈することで参入の障壁とさせず、電力レジリエンスの向上と再エネの最大限導入が両立する制度とすること」を訴える。要件にある「地域一体」の定義について、「地域防災計画への位置づけのみならず非常時活用電源として自治体広報などにより周知され、地域住民の活用が担保されていることも含む」など具体的な改善案も盛り込まれた。

 同提言書は、日本の再エネ政策全般を俯瞰する幅広い内容となっている。上記以外にも、カーボンプライシングの導入、FIP制度の円滑実施に向けた市場改革、電力レジリエンスの強化、系統容量拡大と地域間連系線等の増強、出力制御の抑制、再エネ海域利用法、水素の利活用についてなど提言内容は多岐にわたった。

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