再エネ比率40%超でコロナ禍からの復興目指せ――道府県の協議会が提言(3/3 ページ)
「2050年カーボンニュートラル」を、コロナ禍からの復興と地域社会の活性化につなげていくために。創立10周年を迎えた自然エネルギー協議会が、政策提言書を取りまとめた。
グリーンリカバリーに向けた目標設定を
自然エネルギー協議会では5月20日にも、環境省と経済産業省に緊急政策提言を提出している。「世界を牽引する自然エネルギーの目標値・グリーンリカバリーを実現するために」と題された同緊急提言は次の2項目からなり、今回の提言書のエッセンスを先出したものともなっていた。
- 「2050年カーボンニュートラル」を達成するため、自然エネルギーの最大限導入に向け、第6次エネルギー基本計画は「2030年自然エネルギー発電比率・40%超」など意欲的な導入目標値を設定すること。
- 「グリーンリカバリー」の加速を図るため、「地域脱炭素ロードマップ」の実効性を担保する基金の創設をはじめ、十分な財源を確保すること。
この提言を受け取った笹川博義環境副大臣、長坂康正経済産業副大臣は、それぞれ次のように述べている。
笹川境副大臣「日本においては菅総理の宣言、そして米国におけるバイデン政権の誕生、パリ協定への復帰などもあって、世界的に大きな形で脱炭素化の動きが出てきています。様々な社会資本整備をやっていかなければなりませんので、関係省庁はもちろんですが、いろいろなレベルで議論が進んで、世論が起き上がってくれることが望ましい。その意味で、今回の提言は大変ありがたく受け止めております」
長坂経済産業副大臣「再エネについては、2050年カーボンニュートラルの実現に向け、最大限導入していく方針です。2030年の再エネ比率も意欲的なものとなるよう議論を進めております。技術・社会面での制約やコストにも配慮しつつ、産業の国際競争力の維持・強化と両立できるよう、必要となる投資を促す刺激策も含めて検討を加速していきたいと考えております」
カーボンニュートラル・スタート元年
自然エネルギー協議会は、2011年7月、東日本大震災による「エネルギー危機の解決策」として、地域特性を生かした自然エネルギーの普及拡大を加速させることを目的として設立された。設立10周年を迎えるにあたり、「今後10年は、脱炭素社会実現の成否を分ける極めて重要な時期であり、自然エネルギーの最大限導入がこれまで以上に必要とされている」との認識のもと、先述の提言書とともに、以下の「創立10周年宣言」も発表している。
自然エネルギー協議会「創立10周年宣言」〜2050年カーボンニュートラル・スタート元年〜
- 2030年までを2050年カーボンニュートラル実現に至る「天王山」と捉え、「2030年・自然エネルギー発電比率40%超」達成に向け、タイムリーな政策提言により国を後押ししていく。
- 2050年カーボンニュートラルの実現に向け、地域の自然エネルギーの最大限活用により、GX「グリーントランスフォーメーション」を実現していく。
提言書のタイトルにもあった「グリーントランスフォーメーション」とは、温室効果ガスを排出しないエネルギーへの転換を通して、環境と調和した持続可能なシステムへと社会経済を変革していくこと。コロナ禍からの復興を念頭においた「グリーンリカバリー」とほぼ同意だ。日本政府が掲げる「2050年カーボンニュートラル」、そしてそれを実現するためにまとめられた「グリーン成長戦略」も理念は同じ。世界では、すでに120カ国以上が「2050年カーボンニュートラル」を目標に定めており、日本もこの流れに乗った格好だ。自然エネルギー協議会としては、この流れをより確かなものとすべく、今後とも積極的に政府に働きかけていく考えだ。
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