再エネの“産地証明”を可能に、みんな電力がトラッキングシステムを外販:自然エネルギー
みんな電力が太陽光発電などの再生可能エネルギー電源の発電源を特定できる「P2P電力トラッキングシステム」を、小売電気事業者向けに外販。電力の地産地消を目指す地域新電力や、発電所を指定した法人向けの電力メニューなどを展開する小売電気事業者向けに展開する。
みんな電力は2021年6月29日、太陽光発電などの再生可能エネルギー電源の発電源を特定できる「P2P電力トラッキングシステム」を、小売電気事業者向けに販売すると発表した。電力の地産地消を目指す地域新電力や、発電所を指定した法人向けの電力メニューなどを展開する小売電気事業者向けに展開する。
提供するシステムは、みんな電力が独自開発し2018年に商用化。指定した太陽光発電所や風力発電所で生まれる発電量と、ビルや建物などで利用した電力需要量を30分単位でひも付ける(=取り引きとして約定させる)ことができる。取引内容はブロックチェーンを用いて記録される仕組みで、このシステムを利用することで、「どの電源からどれだけ電力を利用したか」を証明できるようになる。これまでは同社と契約する需要家などに提供しており、約270の発電所と、約210社の企業で発電所を指定した電力取引の実績があるという。
現在、再生可能エネルギー由来電力などのCO2を排出しないといった環境価値については、「非化石証書」として市場で取り引きする仕組み。制度上、火力発電などで発電された電力であっても、非化石証書を組み合わせれば、実質的に再生可能エネルギー由来電力と同じ環境価値を持つ電力として販売できる。
みんな電力によると、こうした環境価値の付与による“実質再エネ”ではない再エネ由来電力の流通ニーズが高まっているという。P2P電力トラッキングシステムはこうしたニーズに応えるもので、その電力が特定の地域で発電されたものであることを示す「産地価値」や、その電力が太陽光や風力など特定の電源で発電されたことを示す「特定電源価値」など、制度上の環境価値とは異なる価値を付加できるとしている。
同社ではこのトラッキングシステムの強みを生かし、地域に根差した発電所を持つ地域新電力など、自社電源を所有し、かつ発電所を指定した法人向け小売プランを検討している小売電気事業者などに提案を進める方針。2022年度までに合計10社程度への導入を目指す。
費用についてはシステムの導入初期費用と運用費で構成。具体的な金額は扱う事業規模に応じ応相談となるが、基本的なシステム導入費用などについては「一般的な顧客管理システム(CIS)と同程度」(みんな電力)としている。
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