都市ガスも脱炭素化、東京ガスが「メタネーション」の実証試験へ:蓄電・発電機器
東京ガスは2021年7月7日、都市ガスの脱炭素化技術であるメタネーションの実証試験同年度内に開始すると発表した。
東京ガスは2021年7月7日、都市ガスの脱炭素化技術であるメタネーションの実証試験同年度内に開始すると発表した。
メタネーションとは、水素と二酸化炭素(CO2)を原料としたメタン合成技術のこと。再生可能エネルギー由来の電力を利用したメタネーションにより都市ガス原料のメタンを製造できれば、実質的にガス事業の脱炭素化が可能になるとして昨今注目されている技術だ。既存の都市ガスインフラ・機器を利用できるため、大規模な追加コストが発生しないメリットもあるという。
東京ガスが行う実証では、住友商事と共同で設置する水電解装置で水素を製造。英国ITM Power社製の水素製造装置で、住友商事が日本の国内法規に準拠した1MPa未満に調整した2.0MW級のモデルを2022年6月に東京ガス横浜テクノステーションに設置する。40フィートコンテナサイズの装置で、水素製造納涼は30.9kg/hとなっている。
この水素とCO2を原料にメタンを合成する日立造船製のメタネーション装置の製造能力は12.5Nm3。実証実験では、再生可能エネルギー由来の電力調達から合成メタン製造・利用までの一連の技術・ノウハウの獲得、さらに水電解装置・メタネーション装置の実力値や課題の把握、システム全体での効率などの知見獲得を目指す。
2021年6月には、メタネーション技術の確立と社会実装に向けた「メタネーション推進官民協議会」が設立されるなど、官民両面での取り組みが加速している。政府としては、2030年までに都市ガス導管に注入するガスの1%をカーボンニュートラルメタン由来に、2050年までに90%を置き換える目標を掲げている。
課題となるのがコストだ。原料となる水素の調達コストをどうするのかといった課題の他、メタンの製造効率や合成に必要なCO2の分離回収技術など、複数の項目において技術革新によるコスト削減が求められる。東京ガスでは実証を通じてこうした課題の解決につながる技術開発を進め、まず2020年代なかば頃に自社施設内における実証の規模を数百m3規模にまで拡大し、将来的な商用化に近づけたい考えだ。
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