再エネ拡大を目指す新電力が業界団体「REAP」を設立、その狙いとは?:太陽光(2/2 ページ)
脱炭素社会の実現に向けて、再エネ由来の電力を使いたいという機運が高まっている。再エネの取り扱いをめぐって、電力会社の勢力図も変わりつつある。こうしたなか、またひとつ新しい協議会が誕生した。
公平な電力市場の実現に向けて、加盟企業も募集中
提言については、もう一人の代表理事である三宅氏が、「新しい市場が創設されたり、変更されたりということが続いていますが、一方的に新規参入者が不利な仕組みにならないよう、はっきりと意見していきたいと思っています」と話す。「発電が大手電力による寡占状態のまま多数の市場が形成されており、それぞれ大手電力が市場支配力を行使しやすい状況にある」との認識のもと、公平な競争環境に改められるよう働きかけていく考えだ。
同時に、再生可能エネルギーについて多くの人々に知ってもらうことが大事だとして、その意義を語る。「再エネは、化石燃料と違ってCO2を排出しない供給力です。脱炭素を実現するためには、再エネへの大胆な電源構成のシフトが必要となります。さらに、再エネは分散電源として、いわゆる中央集約的ではない多様なモデルを構築することが可能です。いろいろな方が発電の主体にもなれますので、エネルギーの民主化といいますか、地域の活性化などにも大きく貢献することができます」(三宅氏)
政府は2021年6月18日、「経済財政運営と改革の基本方針2021」において、脱炭素化に向けたエネルギー・資源政策として、「再生可能エネルギーの主力電源化を徹底し、再生可能エネルギーに最優先の原則で取り組み、国民負担の抑制と地域との共生を図りながら最大限の導入を促す」と記した。REAPの取り組みは、こうした方針にも沿うものであり、今後の活動に期待する向きは多い。
現在、REAPの会員は、正会員・賛助会員合わせて34社・1団体。同協議会では、前述の設立趣旨に賛同し、再生可能エネルギーの普及に対する障害を取り除こうという意志を有する全国の小売電気事業者に広く参加を呼びかけている。
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