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脱炭素の「企業トップリーグ」と新クレジット市場創設へ、経産省が2022年度に実証法制度・規制(1/2 ページ)

日本でも炭素に価格付けをする「カーボンプライシング」の導入に向けた議論が本格化。その具体策として経済産業省は気候変動対策を先駆的に行う企業群で構成する「カーボンニュートラル・トップリーグ」と、企業が排出量を売買できる新市場を創設する方針だ。

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 2050年のカーボンニュートラル達成に向けた経済的なアプローチとして、日本でも炭素に価格付けをする「カーボンプライシング」の導入に向けた議論が本格化している。経済産業省は2021年8月5日、半年にわたって開催してきた有識者会議における検討内容について、中間整理案を公表。削減量を取り引きできる新市場の創設や、意欲的な企業の目標を国が承認する新制度など、具体策を盛り込んだ。

 ただし、炭素税や排出量取引など、強制力があり企業の負担を伴う施策の導入は、結論を先送りにした形となった。

先進企業で構成する「カーボンニュートラル・トップリーグ」を創設

 中間整理案で提示された新たな施策の一つが、気候変動対策を先駆的に行う企業群で構成する「カーボンニュートラル・トップリーグ(仮称)」の創設だ。

 これは意欲的な削減目標を立案し、その目標を気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に基づいて資本市場に開示している企業などの自主的な加盟を想定したグループだ。こうした気候変動対策に意欲的な加盟企業の削減実績を国が承認する仕組みとし、各企業の取り組みがブランディングの向上やESG資金の呼び込みなど、経営メリットにつながるよう促す。


「カーボンニュートラル・トップリーグ(仮称)」のイメージ 出典:第7回 世界全体でのカーボンニュートラル実現のための経済的手法等のあり方に関する研究会 中間整理案より

新たに「カーボン・クレジット市場」を開設

 もう一つの目玉となるのが、カーボンニュートラル・トップリーグとセットで立ち上げる、カーボン・クレジット市場だ。

 この市場では主に2種類のクレジットを扱う。一つはトップリーグ加盟企業の同士で売買可能な「企業由来クレジット」だ。トップリーグの加盟企業が削減目標を超過達成した場合、その差分は国がクレジットとして認定する。このクレジットをトップリーグ加盟企業同士で取り引きできるようにする。

 もう一つは、J-クレジットやJCM(二国間クレジット制度)など、すでに制度化されている「プロジェクト由来クレジット」だ。トップリーグの非加盟企業は、こちらのクレジットを売買することができる。

 新市場では取引価格を公開し、シグナルとして炭素価格の情報を発信できるようにする。経済産業省ではトップリーグおよびカーボン・クレジット市場の創設に向け、今後より具体的な制度設計について議論を進め、2022年度から実証を開始する計画。

 中間整理案ではこの他、J-クレジットや非化石取引市場など既存クレジット市場の活性化に向けた施策の推進や、製品やサービスのライフサイクルにおける温室効果ガスの排出量を明示するカーボンフットプリントの導入に向けた基盤整備などが盛り込まれた。

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