容量6000kWhのテスラ製蓄電池を導入、北海道に新たな需給調整施設を建設:蓄電・発電機器
グローバルエンジニアリングが電力系統の需給調整事業に参入すると発表。北海道千歳市に日本初をうたう「系統用蓄電池発電所」を建設し、再生可能エネルギー電源と一体運用するバランシンググループ(BG)を構築することで電力系統の安定化に寄与する需給調整業務の受託を目指す。
グローバルエンジニアリングは2021年8月19日、電力系統の需給調整事業に参入すると発表した。約3億円強を投じて北海道千歳市に日本初をうたう「系統用蓄電池発電所」を建設し、複数の再生可能エネルギー電源と一体運用するバランシンググループ(BG)を構築することで、電力系統の安定化に寄与するという。運用開始は2022年を予定している。
建設する系統用蓄電池発電所の名称は「北海道・千歳バッテリーパワーパーク」。システムの中核となる蓄電池には、米Tesla(テスラ)社製の「Megapack(メガパック)」を採用した。
テスラのMegapackは、定置用の大型蓄電システム。コンテナに蓄電池、パワーコンディショナー、温度管理システム、制御機構などを全て収めたオールインワン仕様となっているため、電源およびLANケーブルの接続を行うだけで施工できるのが特徴だという。テスラ独自開発の専用ソフトウェアにより、運転制御や遠隔監視、将来のパフォーマンス分析なども行える。
今回の北海道・千歳バッテリーパワーパークには、出力1523.8kW、容量6095.2kWh(キロワット時)のメガパックを導入する。なお、設備の工事の設計、調達、建設については、エネ・ビジョンとEPC契約を結んだ。
グローバルエンジニアリングはアグリゲーター事業者として、メガパックなどの蓄電池と全国各地に点在する太陽光発電などの再生可能エネルギー電源、節電などにより⽣み出されるネガワット電力、自家発電設備などを一つのバランシンググループ(BG)として運用。天候で大きく変化する再生可能エネルギーの出力変動を、発電機・蓄電池などの調整力を生み出せる設備の運用でより吸収し、出力の安定化を図る。
昨今、再生可能エネルギーなどの出力が変動する電源の導入拡大に伴い、電力需給の「調整力」の取り引きに注目が集まっている。2021年4月には調整力を取り引きする「需給調整市場」がスタートした。
グローバルエンジニアリングでは北海道・千歳バッテリーパワーパークを活用し、こうした需給調整市場や容量市場などにも参画し、収益化を図る方針。また、災害や停電時には、近隣の地域住民への電力供給の場や、避難所として活用できるよう運用するとしている。
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