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商用ガスエンジンに水素を混焼、35%の比率で初めて安定運転に成功:蓄電・発電機器
東邦ガスと三菱重工エンジン&ターボチャージャは2021年8月26日、商用ガスエンジンによる都市ガスと水素の混焼実証で、定格出力において水素混焼率35%の試験運転に成功したと発表した。国内初の成果だという。
東邦ガスと三菱重工エンジン&ターボチャージャは2021年8月26日、商用ガスエンジンによる都市ガスと水素の混焼実証で、定格出力において水素混焼率35%の試験運転に成功したと発表した。国内初の成果だという。
この実証は、既に顧客先に設置済みのコージェネレーションシステム用ガスエンジンに対し、大幅な改造を加えることなく低コストに都市ガスと水素の混焼運転を目指したもの。東邦ガス技術研究所(愛知県東海市)において、東邦ガスと三菱重工エンジン&ターボチャージャが共同開発したガスエンジン商品機を用いて実証に取り組んだ。
都市ガスと水素の混焼においては、エンジンの吸気側に火が逆流するバックファイア、点火時期が早すぎる場合や圧縮比が高すぎる場合に、混合気が自着火して燃焼室内の圧力が急激に上昇してしまうノッキングなど、異常燃焼の発生が課題となる。水素は都市ガスと比べ最小着火エネルギーが小さく、燃焼速度が速いため、こうした異常燃焼が発生しやすい。
実証は、東邦ガス技術研究所(愛知県東海市)において、三菱重工エンジン&ターボチャージャ製の定格出力450kWのガスエンジン商品機を用いて行った。その結果、空気と燃料の投入比率の調整などにより、混焼率35%で、都市ガス仕様の定格発電出力で安定した運転に成功したという。
両社は今後、さらなる水素混焼率を高めるための研究を継続するとしている。
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