定置用蓄電池の世界市場はコロナ禍でも成長、2020年は120億ドル規模に拡大:蓄電・発電機器
矢野経済研究所が定置用蓄電池の世界市場に関する調査結果を発表。2020年の同市場はメーカー出荷容量ベースで前年比142.7%で3万3692MWhと予測している。
矢野経済研究所は2021年9月14日、定置用蓄電池(Energy Storage System、以下ESS)の世界市場に関する調査結果を発表した。2020年の同市場はメーカー出荷容量ベースで前年比142.7%で3万3692MWh、メーカー世界出荷金額ベースでは同133.7%の121億6800万USドルと予測している。
2020年の市場を設置(需要)先別にみると、家庭用ESSはFIT買取期間の終了した家庭での導入が進んだ日本や、電気料金削減を目的に太陽光発電の設置増加と連動して導入された欧州地域を中心に需要が増加した。
電力系統用においては電力網の老朽化や再エネの導入拡大に伴う電力需給不安定の対策として、北米や欧州、中国向けの導入が市場をけん引。また5G(第5世代移動体通信システム)基地局向けにESSの導入が本格化しており、特に中国での需要増が目覚ましいとしている。
一方で、COVID-19の影響で企業における在宅勤務化が進んだことや、生産現場における工場稼働率の低下を背景に、企業・業務用ESSにおいては導入が減少した。
2021年も市場成長は継続の見通し
地域別に2021年の市場をみると、日本では景気悪化による家庭用需要が減少しているものの、その他の地域(米国、欧州、中国)においては前年同様に導入が増加しており、微増になる見通しとした。
設置(需要)先別では、携帯電話基地局・UPS用において定置用LiBの導入は増加しているものの、定置用鉛蓄電池の需要は既存基地局向け交換需要を含めて減少。その他、電力系統用や企業・業務用においては前年と同様に増加傾向にあり、電力系統用においては特に米国で発生した異常気象や電力網の老朽化などによる停電により、電力安定供給に向けたESSの導入拡大を見込む。これらの背景から2021年のESS世界市場規模は前年比109.0%の3万6735MWhになると予測している。
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