エネオス、再エネ大手のジャパン・リニューアブル・エナジーを2000億円で買収:自然エネルギー
エネオスが再エネ大手のジャパン・リニューアブル・エナジーを2000億円で買収。再生可能エネルギーなどの新事業の強化を図る。
エネオスホールディングスは2021年10月11日、約2000億円で再生可能エネルギー事業を手掛けるジャパン・リニューアブル・エナジー(JRE)の全株式を取得すると発表した。子会社のエネオスを通じて、米ゴールドマン・サックス・グループとシンガポール政府投資公社が間接保有するJREの全株式を取得し、再生可能エネルギー事業を強化するという。
JREはゴールドマン・サックス・グループが2012年に設立した再生可能エネルギー事業開発を手掛ける企業。太陽光、陸上風力およびバイオマスなどの再生可能エネルギー電源を多数保有しており、2021年9月時点における運転中の再生可能エネルギー発電容量は約37.9万kW(各案件への出資持分割合に応じた容量)にのぼる。現在建設中の電源も含めると、約70.8万kWに達するという。洋上風力発電事業にも着手しており、現在ドイツのwpdと共同で、長崎県沖で最大約30MW規模の洋上風力発電の開発が進行中だ。
エネオスホールディングスでは、2040年に向けた長期ビジョンにおいて、石油精製販売をはじめとする基盤事業の強化に加え、素材、次世代型エネルギー供給、環境対応型事業といった成長事業への戦略投資を積極的に進める方針を掲げている。同時に、2040年までに自社排出分のCO2についてカーボンニュートラルの達成を目標としており、足元では2022年度末までに、国内外における再生可能エネルギー事業の総発電容量100万kW超を目指している。
なおJRE全株式を取得した場合、エネオスグループの国内外における運転中および建設中の再生可能エネルギーの総発電容量は、約122万kW(2021年9月時点)となり、直近の目標は達成されることになる。
また、エネオスホールディングスでは将来的に天候によって変動する再生可能エネルギーの出力を蓄電池や電動車両(EV)を用いて最適に制御するエネルギーマネジメントシステムを活用し、顧客にCO2フリーな電力を効率的に供給できる体勢の構築を目指す方針。またこの電力を活用したCO2フリー水素の製造およびそのサプライチェーン構築にも注力するとしている。
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