年間消費量を50%削減可能に、新たな地中熱冷暖房システムの開発に成功:省エネ機器
ベルテクス(千代田区)とエコ・プランナー(福井市)はNEDO事業の成果を活用し、あらたな地中熱冷暖房システムの開発に成功。外気熱を使う従来の空冷式エアコンに比べ、施設などの年間の消費電力量を約50%削減できるという。
ベルテクス(千代田区)とエコ・プランナー(福井市)は2021年12月17日、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)事業の成果を活用し、「ライニング地中熱冷暖房システム」の製品化を達成したと発表した。外気熱を使う従来の空冷式エアコンに比べ、施設などの年間の消費電力量を約50%削減できるという。
年間を通じ一定の温度を保つ地中熱を利用した水冷式エアコンは、外気熱を使う従来の空冷式エアコンや灯油ボイラーなど従来の空調設備と比べ、省エネ性能やCO2削減効果が高いといわれている。しかし、日本では地中熱交換器の設置コストが高く、それに対して既存の工法では少ない採熱面積しか確保できないことが課題となっていた。
そこでベルテクスとエコ・プランナーでは、ボーリング孔の掘削など高い設置コストに対する採熱面積の小ささを解決するために、ライニング材の利用に着目。この工法では地中にボーリングした縦孔の中に先端を導水管に接続した袋状の樹脂製ライニング材を挿入し、注水圧によりボーリング孔の周面形状に密着させた状態で地中温度により硬化させる。これにより、貯水による蓄熱効果と密着による採熱効率の向上が同時に可能となる「ライニング地中熱交換器」を開発した。
さらに、エアコンの出力に合わせて熱源の循環水量を調整し、必要な地中熱のみを採熱・利用する熱収支制御を行うことで、熱交換率を従来比で3割以上高められる「熱収支制御ユニット」も開発した。
この2つのシステムを組み合わせた「ライニング地中熱冷暖房システム」を兵庫県加東市の事業所に導入し、消費電力量を比較した結果、従来の空冷式エアコンに比べ年間の消費電力量を約50%削減できるめどがたったという。
今後両社は、中熱交換器の設置コストや省エネ性能をより一層向上するために同システムを発展させ、あらかじめ熱収支制御ユニットを搭載した新たな水冷式エアコンの開発を目指す方針だ。
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