究極の脱炭素コミュニティへ――再エネ融通で電力自給率60%超の新街区がさいたま市に:太陽光(3/3 ページ)
Looopは2021年12月、さいたま市で整備が進む「スマートホーム・コミュニティ街区(第3期)」において、地域コミュニティのための分散型エネルギーマネジメントシステム「エネプラザ」の運用を開始した。太陽光、蓄電池、EV、ハイブリッド給湯器を組み合わせた域内システムにより、60%超の年間再エネ自給率を目指す。
究極の脱炭素コミュニティを目指し、カーボンニュートラルに貢献
Looopのエネプラザ プロジェクトリーダー、電力事業本部 企画開発部 エネマネ企画課 課長の荒井綾希子氏は、エネプラザに込めた想いをこう語る。
「日本の電力は、その多くが、遠隔地で発電した電力を長い送電網を使って需要地まで送電することで成り立っています。2020年のカーボンニュートラル宣言以降、各地で脱炭素の取り組みが進められていますが、送電網に流し込める再生可能エネルギーの量には制限があり、普及を阻む課題の一つとなっています。また、大型発電所の停止により、広域停電が発生する事態も起こっています。集中型電力システムの弊害といえるでしょう。
一方、私たちが追求しているのは分散型電力システムであり、そこではコミュニティ単位で需給バランスとることが可能なので、再エネも導入しやすくなります。また、上位の系統が停電した場合にも、系統から離脱してコミュニティ内の電源により電力供給を継続することができます。遠いところでつくった電気を送り届けるのではなく、その場でつくった電気をその場で地産地消できるような社会です。
目指しているのは、究極の脱炭素型コミュニティであり、さいたま市のスマートホーム・コミュニティ街区は、その第1号となります。年間の再エネ自給率は、一般の戸建住宅で太陽光を設置して30%、蓄電池を加えて50%といわれておりますが、当街区では60%以上という高いシミュレーション結果を得ています。発電側・需要側それぞに工夫を凝らし、コミュニティ全体で再エネ融通をすることで実現しています。
Looopは今後も継続して分散型エネルギーマネジメントシステム・エネプラザを各地で展開することを目指し、再生可能エネルギーの普及を推進して、カーボンニュートラルの達成に貢献してまいります」
2021年11月、エネプラザは、環境省が気候変動対策の一環として行っている「令和3年度気候変動アクション環境大臣表彰」(イノベーション発掘・社会実装加速化枠)を受賞した。さいたま市のスマート・コミュニティ街区(第3期)には、2021年12月18日に一軒目の家族が入居、2022年春までに全戸入居となる見通しだ。実際に、そこに住む人が、どんな評価を下すかにも注目していきたい。
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