太陽光関連企業は3年で約30%減少、大型倒産が続くも景気動向は回復傾向に:太陽光
帝国データバンクは2022年2月10日、新型コロナウイルスの感染拡大が始まった2020年2月以降、景況感の急激な悪化に伴って太陽光関連のDI(景気動向指数)は急落し、同年4月に28.6をつけた。現在はそこから徐々に回復過程にあり、2021年12月には42.7まで上昇したとしている。
帝国データバンクは2022年2月10日、国内の太陽光関連企業の動向に関する調査結果を公表。新型コロナウイルスの感染拡大が始まった2020年2月以降、景況感の急激な悪化に伴って太陽光関連のDI(景気動向指数)は急落し、同年4月に28.6をつけた。現在はそこから徐々に回復過程にあり、2021年12月には42.7まで上昇したとしている。
再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)による買取価格は、2021年に家庭用が19円/kWhと2012年比で約半減、10kW以上〜50kW未満は12円/kWhと3分の1以下にまで低下している。太陽光パネルなどの価格低減が進み、投資利回りは再生可能エネルギーの採算性の目安とされる10%を確保できているが、利幅は確実に減少しており市場環境は厳しいものになっていると分析している。
なお、太陽光発電協会の発表データによると、2021年度の太陽光パネルの国内出荷量は、5322MWと2014年比で46.1%減少している。
太陽光関連企業は3年で約30%減少
太陽光関連企業の2021年のプレーヤー数は5423社で、2018年との比較で29.2%減少。ただし前年比では3.7%の増加となっている。2021年の市場規模(年毎のプレーヤー数の売上高合計)は22.5兆円と、2018年比で54.4%の減少となった。こちらも前年比では3.7%の増加となっている。
太陽光関連企業の2021年の黒字額の合計は5657億円で、2018年比で58.1%の大幅減となった。一方、赤字額は849億円と、2019年の2901億円から減少した。なお、プレーヤー数は毎年変動があるものの、黒字企業の割合は約65%前後、赤字企業数は10〜15%前後、不明は20%強としている。
2021年の倒産件数は前年と同じく84件。倒産件数は2015年から増加トレンドに入り、017年以降は年間70〜90件の高水準が続いている。半期ベースでは、2021年下半期は前期比21.1%増の46件と2018年下期以来の高水準で、今後さらに増加する可能性もあるという。
2021年の負債総額は前年比240.7%増の816億2800万円と急増。これは大型倒産が多く発生したためで、負債規模別では負債10億円以上〜50億円未満が8件、負債50億円以上が4件で、いずれも過去最多となった。
FITの制度改正で、2020年度より小規模の産業用は全量買取制度から余剰電力買取制度へ移行し、大規模(250KW以上)の産業用には入札制度が導入さされた。帝国データバンクでは「これらの制度変更と、プレーヤー数の減少、市場規模の縮小、倒産件数の高止まりとの間には、やはり強い相関関係があると言わざるを得ない」と分析している。
一方で、新たなエネルギー基本計画で、再エネの導入比率の目標が高められ、太陽光発電が主力電源として位置付けられていることなど、追い風の要因もあると指摘。2021年に、プレーヤー数と市場規模がともにわずかながら増加に転じたのは、「明るい兆し
であるかもしれない」としている。
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