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見直しが必須の「容量市場」、現状の課題と新たな制度設計の方針は:法制度・規制(2/4 ページ)
将来の電力供給力確保を目的に導入された「容量市場」。既に2020年に第1回の入札が行われたが、足元の電力市場環境の変化を受けて、制度設計の見直しが進められている。2022年4月25日に開催された第64回「制度検討作業部会」で議論された、容量市場の今後に関する検討内容を紹介する。
供給力の維持確保を担う「戦略的予備力」
戦略的予備力とは容量メカニズムの一つであり、制度上指定された発電所に対して、一定の固定費を支払うことにより、供給力を維持確保する仕組みである。
同時に、その発電所の平時の稼働を制限することにより、CO2排出量を抑制するなどの副次的効果を目的とする場合もある。
IEA(国際エネルギー機関)は、戦略的予備力は短期的に必要な供給力を確保する施策としては一定の効果が見込めるものの、図1のような「Slipping Slope問題」により、中長期的な供給力確保策としては課題があることを指摘している。
また通常、戦略的予備力は既設電源が制度対象となるが、日本では電源の新設を通じた新陳代謝も容量メカニズム導入の目的と位置付けていたことが、戦略的予備力ではなく容量市場が選択された理由の一つと考えられる。
2021年度供給計画によれば、休止の延期や1年程度の短期間での再立上げが可能な電源は、約600〜1100万kW程度存在すると考えられる。
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