リチウムイオン電池の世界市場は2025年に12兆円超え、EV向けや定置用がけん引:蓄電・発電機器
調査会社の富士経済は2022年5月16日、リチウムイオン二次電池の世界市場に関する調査結果を発表した。2025年の同世界市場は2020年比率1.8倍以上の12兆3315億円に成長すると予測している。
調査会社の富士経済は2022年5月16日、リチウムイオン二次電池の世界市場に関する調査結果を発表した。2025年の同世界市場は2020年比率1.8倍以上の12兆3315億円に成長すると予測している。
リチウムイオン二次電池の世界市場は、電気自動車(EV)最大の生産地・需要地である中国を中心とするEV需要の増加が大きく影響し、2021年の市場規模は前年比57.0%増の10兆5126億円が見込まれる。
2025年の市場は12兆3315億円が予測される。EVの開発計画が多数あり、自動車メーカーによるEVの販売目標の上方修正もみられることから、今後もEV用途が市場をけん引すると予想。また「ESS(電力貯蔵システム)/UPS(無停電電源装置)/BTS(無線基地局)用」も二桁増を続け、同分野の市場規模は2021年の6027億円から、2025年には1兆円を突破するとしている。
リチウムイオンバッテリーは競合となる鉛蓄電池と比較すると長寿命であり、省スペース化が可能という特徴がある。現時点では、UPSやBTSでは鉛蓄電池が主流であるが、ESSでは入出力特性に優れるリチウムイオンバッテリーの採用が進んでいる。太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギー発電の増加により、家庭での発電電力の自家消費、発電事業者による系統安定化など幅広い用途で導入されており、市場は米国、中国、欧州での需要がけん引している。
米国ではカリフォルニア州で新築住宅での太陽光発電システムの設置が義務化されたことや、カリフォルニア州以外でも電力安定化や再生可能エネルギーの変動吸収などを目的とした発電事業者によるESS設置が義務付けられたことから、需要増加が期待されるとしている。
また、中国では、BTSでも環境配慮・廃棄の観点から鉛蓄電池からリチウムイオンバッテリーへの置き換えが加速。欧州では、原子力発電所の閉鎖が予定されるドイツで家庭用電気料金が上昇しており、家庭用ESSが伸びている。さらに英国では家庭で5000kW以下のESSを導入すると売電できる制度が2020年にはじまった影響で、今後の伸びが期待されるとしている。
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