川崎市が太陽光発電の設置義務化へ、23年度中の条例改正に向け素案を提示:太陽光
川崎市が市内の建築物に太陽光発電設備の設置を義務付ける条例改正の素案を公表。市の温暖化対策の促進に向けた条例を改正するもので、今後、同審議会などで詳細を検討し、2023年度中の施行を目指す方針だ。
川崎市は2022年7月27日に開催した「環境審議会脱炭素化部会」において、市内の建築物に太陽光発電設備の設置を義務付ける条例改正の素案を提示した。市の温暖化対策の促進に向けた条例を改正するもので、今後、同審議会などで詳細を検討し、2023年度中の施行を目指す方針だ。
提示された素案では、2000m2以上の新築・増築建築物について建築主に対する設置義務を(義務制度1)、延べ床2000m2未満の新築建築物については供給事業者に対して設置義務(義務制度2)を課す方針を示した。さらに延べ床10m2以上の新築・増築建築物については、建築士に対して建築主へ建物に設置することができる再生可能エネルギー利用設備について、書面を交付して説明することを義務付ける方針だ。
2000m2以上の新築・増築建築物については、設置義務量を熱量換算で6万〜45万MJ(2000〜1万5000m2)程度を想定する。これは、平均的な太陽光発電設備の出力換算では5.5〜41kW程度になる。ただし、最終的な義務量の決定は、今後の議論を踏まえた上で決定する方針。
なお、2000m2の建築物は大規模となることが想定されるため、義務量の達成においては太陽光発電以外の再生可能エネルギー電源の導入も認める。また、日照条件や建築構造により設備の導入が厳しい場合は制度の対象外に、あるいは再エネ電力の調達による義務量の達成なども認める方針だ。
延べ床2000m2未満の建築物について、義務化の対象とするのは年間の市内総供給延べ床面積が5000m2以上の供給事業者。こちらは新築のみが対象で、義務量の達成に利用できるのは太陽光発電のみかつ、再エネ電力の調達は認めない方針だ。こちらも日照条件や建築構造を考慮した除外規定を設ける。
義務量は東京都の方式を踏襲し、「年間受注棟数」×「要求下限量」×「設置可能率」で算出する。要求下限量と設置可能率は今後適切な数値設定を検討する。なお、要求下限量については、建築面積に応じた段階設定も検討する方針だ。川崎市の試算によると、この義務制度2の対象となる事業者は、市内600社中23社で、23社の年間受注数の合計は、市内新築建築物の約56%に相当するとしている。
川崎市では2050年のカーボンニュートラル達成に向けて、2030年までに市内における再エネ設備導入目標を33万kWと設定している。しかし、2020年度までの導入量は20万kWにとどまっており、目標の達成にはこれまでの約2倍のスピードで導入を進める必要があるという。
同市において2050年までに追加的に導入可能である再エネ電源は73万kWと試算されており、その内訳は住宅用・事業用の太陽光発電が約72万kWと追加分の約99%を占めている。
また、川崎市は市域の9割が市街化されており、人口密度も政令指定都市では全国2位。そのため、市内の再エネを増やしていくためには、一般家庭および事業者の建築物への太陽光発電の設備が最も有力と判断し、今回の条例改正の検討を進めている。
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