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石炭×燃料電池で複合発電、排出したCO2は回収してトマト栽培に活用:蓄電・発電機器
大崎クールジェンは、石炭をガス化し燃料電池と組み合わせて発電を行う「石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC)」からCO2を回収し、トマト栽培に活用する実証を開始した。
電源開発と中国電力が設立した大崎クールジェンは2022年7月、世羅菜園および日本液炭と共同で、発電所から回収したCO2を有効利用する実証試験を開始したと発表した。
大崎クールジェンでは供給安定性に優れる石炭火力の有効利用と環境負荷の低減を目指し、石炭をガス化し燃料電池と組み合わせて発電を行う「石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC)」の研究開発を進めている。この発電方式に、CO2の分離回収システムを組み合わせることで、安定的かつ効率的な発電を行いながら、環境負荷の低い発電方式を実現する狙いだ。
現在このIGFCの実証は第3段階に突入。大崎クールジェンは2022年4月からNEDOと共同で、CO2分離・回収型酸素吹石炭ガス化複合発電設備に、MW級の燃料電池設備(SOFC)を組み込んだ発電システムの実証を開始している。
今回の取り組みはIGFCから排出されるCO2の有効利用を検証するもの。具体的には発生したCO2を回収して液化し、日本液炭が世羅菜園のトマト温室に輸送する。世羅菜園のトマト温室ではこれまでも光合成の促進に向けてCO2を活用してきたが、今回これを大崎クールジェンのプロジェクトで回収したものに置き換える。
なお、回収したCO2を液化して輸送し、有効活用する取り組みは国内初としている。
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