再エネ大量導入が実現した2050年、系統安定に必要な「調整力」のコストはいくらか?:エネルギー管理(3/4 ページ)
2050年に向けて再生可能エネルギーのさらならる導入が進められているが、その時に電力需給のバランス維持に必要な「調整力」の必要量とコストはどの程度なのか――その試算が公開された。
ΔkW費用の試算結果
調整力の費用には、調整力の確保に伴う費用(ΔkW費用)と、調整力の稼働に伴う費用(調整力kWh)の2つがある。
ここでも前提条件は、「基本シナリオ(2050 Without)」である。
まずΔkW費用に関しては、再エネの予測誤差・時間内変動対応分を含めた調整力を確保した場合と、需要変動対応分のみに対応する調整力を確保した場合の差分として、電源を持ち替えた費用(発電費用の差分)を試算している。
なお、調整力の確保状況などは東3社でのシミュレーションとしているものの、発電費用は全国での需給シミュレーションとしていることから、中西エリアでの発電機持ち替え費用も含めている。
この結果、東3社のΔkW確保費用は年間315億円と試算された。
発電費用(起動費、燃料費)については、マスタープラン基本シナリオ(2050 Without)の想定値の「中央値」が使用されている。現在、特に燃料費が高騰していることから、この条件の見直し次第では、ΔkW費用も大きく変動することとなる。
なお上述表3のように、北海道エリアでは調整力不足時間が1時間発生している。この不足ΔkW・hは約17万kWhである。
事務局では、仮に蓄電池の追加によって調整力を確保する場合の費用として、17万kWh×0.6万円/kWh=約10億円(年間)と試算している。
蓄電池単価0.6万円/kWhの根拠としては、「定置用蓄電システム普及拡大検討会」の2030年見通し6万円/kWh、蓄電池の平均寿命10年を前提としている。
ただし、この検討会では系統用蓄電池は検討の対象外としていることや、2030年と2050年では時間軸が異なることから、実際の蓄電池費用は大きく異なる可能性がある。
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