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「系統用蓄電池」の導入が急増する北海道、大量導入における新たな課題が顕在化:蓄電・発電機器(4/4 ページ)
出力が変動する再生可能エネルギーの導入拡大への対応として、電力系統に蓄電池を導入する動きが進んでいる。北海道では系統用蓄電池の導入申請が急増。一方で系統混雑などの懸念が生まれていることが明らかとなり、今後の対策が検討されている。
中長期的な系統混雑解消に向けた系統用蓄電池の活用
従来の電力系統は、混雑を発生させないように設備増強されてきたのに対して、現在では混雑発生を前提とした、効率的な設備形成が志向されている。
例えば「ローカル系統」では、ノンファーム型接続が適用されると同時に、費用便益評価によって系統増強の判断がなされることとなる。
通常、費用便益評価が「1」を下回る場合には系統増強は行われないが、今後、価格低下が進んだ系統用蓄電池を活用することにより、系統混雑の解消が図られるケースも現れると期待される。
また「配電系統」についてはノンファーム型接続の適用に課題が多く、現時点で具体的な適用時期が見込まれていない。このため系統増強に代わる混雑解消策の一つとして、蓄電池の活用が考えられる。
いずれにおいても、系統用蓄電池の設置者や運用の在り方、費用負担について今後の検討とされる。
現在、発電所の立地誘導の一助として、系統の空き容量マップが公開されているが、これはあくまで逆潮流に関するものである。
系統用蓄電池の接続には順潮流側の空容量も必要であり、東京電力パワーグリッド等は、需要家向けのウェルカムゾーンマップを公開している。
将来的に系統用蓄電池を系統混雑緩和に活用することを念頭に、系統用蓄電池の立地誘導に向けた更なる情報公開が進むことが期待される。
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