浮体が“回る”垂直軸型の低コストな新型洋上風車、2024年度に実証実験へ:蓄電・発電機器
垂直軸型の浮体式洋上風車の開発に取り組むアルバトロス・テクノロジーが、独立系ベンチャーキャピタルから1億円の資金調達を発表。低コストで運用が可能という、開発中の浮体式洋上風車の実証実験に向けた準備を開始した。
ベンチャー企業のアルバトロス・テクノロジー(中央区日本橋)は2022年9月14日、ジェネシア・ベンチャーズから総額1億円の資金調達を行い、開発中の浮体式洋上風車の小型海上実験の準備を開始したと発表した。
アルバトロス・テクノロジーは2012年創業のベンチャー企業で、浮体式の垂直軸型風車の開発に取り組んでいる。同社が新たに開発する浮遊軸型風車(Floating Axis Wind Turbine: FAWT、ファウト)は、浮遊軸型風車(FAWT:Floating Axis Wind Turbine)は、円筒の浮体そのものが回転しつつ垂直軸型風車を支え、海水を風車の軸受とする構造が特徴。傾斜しても回転性能が低下しにくく、最大出力時に20度までの傾きを許容できるという。こうした特徴から、強風時などに垂直不動を維持するための大型浮体が不要であり、コスト低減が図れるという。
また、風車部分は、カーボン複合材料の連続引抜き成形により低コストで製造でき、発電機も含めて100%国内調達が可能なデザインだという。クレーンを使わずに組立・海上設置が可能で、水深の浅い港も基地港にでき、設備費用を半分近くに削減し、垂直軸型デザインを生かして保守・運転維持費も大幅減を見込めるとする。風車としての性能面については、おおよそ風車直径10m以上のスケールであれば、従来型(水平軸型)風車と同等以上の性能としている。
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